新旧天才起業家合体パンチ！　西和彦×堀江貴文「今こそヤフーBBを売っ払え」

　片や､日本社会にコンピュータが入り込み始めた1970年代末にアスキーを立ち上げ、天才起業家として時代の寵児となった西和彦。片や､IT時代草創期の90年代中期にウェブ制作会社を立ち上げるや、多岐にわたるネットビジネスを展開し、またたく間に年商100億円企業をつくり上げた堀江貴文。ともに歯に衣着せぬ言動と反発を恐れない攻撃的な経営手腕で、その名を知らしめた新旧2人の天才が本誌誌上で初顔合わせ。強力タッグで、IT業界にとどまらず、さびついた日本のビジネス界に合体パンチを食らわせる！

――先日の、堀江さんとイーバンクの大げんかはすごかったですね。経営方針をめぐってもめていたイーバンクの社長が「お前の会社、ぶっ潰しちゃうよ」という電話を、ライブドアの取締役に掛けてきた。その音声ファイルを堀江さんがHPで公開したもんだから……。

初顔合わせのお2人。

西　あの脅迫音声はびっくりしたね！

堀江　音声を公開したらさすがにしゅんとなるかと思ったら、あの反応は僕らも予想外でしたね。「これは私の声ではない」とかって、ウソついてきましたからね。ここまで開き直れるんだなあって。

西　あなたのところがイーバンクの株主なんでしょ？　株主に対して、それを言っちゃあおしめーよって感じだよね。

堀江　やっぱり銀行の人なんだなぁって感じでしたよね。文化の違いとしかいいようがないですよね。宗教論争みたいなもので、価値観がまったく違う。

西　イーバンクの社長は、どこの銀行出身の人なの？

堀江　長銀（日本長期信用銀行）ですよ。

西　ああ……それだったら、それぐらいのこと言うかもな。

堀江　世間から見たら、われわれのようなベンチャーの若造より、銀行出身のプロなんかのほうが信用度が高いんですよ。だから、音声ファイルの公開でもしないと、我々が「脅された」なんて言っても、みんな信用してくれないんです。みんな訴え出る手段を知らないだけで、彼らのような銀行や証券会社の人間は、ひどいことをいっぱいやってる。

――ひどいことって？

堀江　たとえば株式公開をするときだって、主幹事の証券会社が「やらない」って言ったばかりに、そのまま上場できなかったり。そうやって潰された人たちは山のようにいるんです。

西　そうそう、「念のため、もう1年待とう」とか。翌年になったら「もう1年」とか。

堀江　彼らは自分の利益しか考えてないですからね、自分たちがいちばん手数料をとれる時に上場させよう、って思ってるわけですよ。それでも彼らが言ったことには、従わざるを得なかったんです。

マイクロソフト帝国が崩壊する？

――ところで、マイクロソフトをどうご覧になっていますか？　堀江さんは、Windowsと競合するOSのビジネスも手掛ける、反マイクロソフトの急先鋒ですが。

堀江　いやいや、あれはポーズですよ。そういうポーズは大事で（苦笑）。ほら、うちだってアスキ－の子会社だったアスキーイーシー（ネット販売事業）を買って、マイクロソフト製品の販売に貢献してるんですから。

西　あっ、アスキーイーシーを買ってもらったんだっけ？　いくらだった？

堀江　500万円ぐらいです。

西　おい、たった500万かよ（笑）。

堀江　そのとき、アスキーの人から、西さんのうわさ話をいっぱい聞きました。西さんがヘリを買ったときの話とか。

西　やべぇ。じゃあ、もう全部バレてるな（笑）。

堀江　500万円なんてタダみたいなもんだから、話を聞いたとき、「即買いだ！」って。

――堀江さん、マイクロソフトは嫌いでしょ？

堀江　別に嫌いじゃないですよ。ただ、独り占めせず、半分くらい売り上げを分けてくれれば。

西　マイクロソフトは強いからね。強いものに対する批判や嫉妬は当然ある。この前も欧州委員会（EU）が独禁法違反でマイクロソフトに5億ユーロ（約650億円）の制裁金を科すというニュースがあったけど、あれはアメリカに飛び火するかもしれない。もしアメリカでも独禁法違反で罰せられるということになれば、650億円どころか6000億円までいっちゃうかもと心配しています。

堀江　それでも利益を上げられるんじゃないですか、あの会社は。

西　マイクロソフトには、預貯金あたくさんあるから影響は少ないとか言ってるけど、堤防で小さな穴が見つかって、そこから崩壊して洪水が起きるように、大変な事態に発展する可能性がある。だから、マイクロソフトはめちゃくちゃナーバスになってると思うな。

――マイクロソフト帝国が崩壊するのは、いいことなんですか？

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