【KONOSUKE TAKESHITA】天性のヒール? 外敵? 米プロレス団体で世界一を目指す日本人レスラー

――近い将来、「アメリカで有名な日本人」のひとりとして名を連ねるであろうこの男。自称〝生まれながらのヒール〟が歩まんとする究極のプロレス道……の途中の話。

(写真/尾藤能暢)

「ケツの穴から手突っ込んで、奥歯ガタガタ言わしたろか!」ワシントンD.C.の会場に響き渡るコテコテの関西弁。日本語が分からないはずの観客たちに、これがなぜか大ウケした。2023年1月、米プロレス団体AEWでの出来事だ。このリングの中心にいたのがKONOSUKE TAKESIHITA。大阪・西成生まれの29歳、夢は世界一のプロレスラーになることだ。

「17歳でデビューして、21歳で団体のトップになりました。僕としては大事な青春を全部プロレスに捧げてきたわけだから、結果がついてくるのも当然だと思っていた。だけど、それをよく思わない人もいました。SNSでエゴサするとアンチコメントばかりだったこともあったし。そのときから、もう僕は生まれながらにヒールなんだなって思いました」

DDTに所属し、ベビーフェイスの〝竹下幸之介〟として団体を牽引してきた。187センチ114キロという、外国人選手と並んでも見劣りがしない恵体。ヘビー級ながら場外への華麗な飛び技を繰り出す高い身体能力もあって、デビュー当時からその才能は誰もが認めるところだった。しかし、観客の心を掴みきれずにいたという。そんな彼に転機が訪れる。22年に100万人の視聴者を抱えるAEWに本格進出。仲間を裏切り、ヒールターンすると人気が跳ね上がった。

「AEWは週に3回地上波のゴールデンタイムで試合を放送しています。日本では会場にいる人を楽しませるというのが大前提にありますが、アメリカは会場のさらに向こう側にテレビを見ている大勢の視聴者がいて、そこまで意識してプロレスを見せないといけない。僕も1秒でも長く映っていたいから、カメラマンが撮りたくなる試合をしたい」

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