ステージ重視の中で貫かれた独自の育成法と相違なダンスの融合

――今年、60年以上の歴史を持つアイドル帝国「ジャニーズ事務所」の名前が消えた。だが、ファンに支持され、男性アイドル界を牽引してきた唯一無二の「ジャニーズらしさ」は、エンタメ界に残すべき遺産のはずだ。今こそ「ジャニーズが残したもの」「今後も旧ジャニーズタレントたちに継承していってもらいたいもの」を語るときだろう。そこで、各分野の識者たちに「受け継がれるべきジャニーズのレガシー」を聞いた。ドラマ、音楽、ダンス、衣装…どこに「ジャニーズらしさ」を感じるかは十人十色。あなたの心に「ジャニーズが残してくれたもの」とは?

1961年、ジャニーさんは野球を教えていた少年たちとミュージカル映画『ウエスト・サイド物語』を鑑賞に……同作に感銘を受けたことから始まったとされるジャニーズに、ダンスは絶対に欠かせないものだったんだろうね。


大谷能生(おおたに・よしお)
批評家(ジャズ史・20世紀音楽史・音楽理論)、音楽家(サックス・エレクトロニクス・作編曲・トラックメイキング)。1972年生まれ。著書多数。『ジャニ研!』(原書房/矢野利裕、速水健朗との共著)では、戦後構築されたジャニーズ文化をひもとき、社会への影響などを考察して話題に。音楽家としては、これまで50本以上の舞台に参加している。


かつて、主に嵐のバックダンサーとしても活躍した宇宙SixにはSnow Manの目黒蓮も在籍。そうしたステップを経てスターダムに(写真は二宮和也と宇宙Six)。

ジャニーズのダンスについて語る際、ほかと大きく異なる特徴としていえるのは、“いきなりステージに上げちゃう”ことだと思います。もちろん未経験者もたくさんいます。そういった子をいきなり舞台やコンサートのステージに上げ、先輩たちのバックで踊らせ経験を積ませていく。

ジャニーズの一番大切なテーゼは、テレビではなくミュージカルに置かれています。そのような舞台に欠かせない群舞には、素人も混ぜやすい。コンサートのバックも同じだと思います。宝塚歌劇団やLDHは傘下の学校で基礎からみっちり鍛え抜いた上で、ようやく舞台に立たせる。しかしジャニーズは、目の前にお客さんがいる状況にいきなり立たせ、最初から作品づくりに関わること、見られることを自覚させました。

ミュージカルが軸となるジャニーズは、舞台上で音楽と関係なく動きを「止める」ことで魅せる。タタタッと移動して止まり、正面を向き、歌い、踊る。これも大きな特徴です。なぜなら舞台にはそれぞれの役割があり、動きを止めて正しい位置でセリフを言う。そうしないと内容が伝わらないからです。ジャニーズはそれを歌のパフォーマンスにも取り入れているといっていいと思います。

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