インディーズ映画の女王・菜葉菜が語る 本気で嫌いになった監督の現場で得た心境の変化

――これまでインディーズ、メジャー問わず数々の話題作に出演し、3月に米シカゴで開催された「アジアン・ポップアップ・シネマ映画祭」で日本人として初めてとなる功労賞を受賞した俳優・菜葉菜。2001年に園子温監督の映画『自殺サークル』でデビュー以来22年、多くの映画人に愛され続ける彼女の魅力を探る。

(写真/増永彩子)

――横浜・シネマノヴェチェントで9月16日から開催されている『女優 菜葉菜 特集』。上映される12作品は、菜葉菜さんにとっても、現時点での集大成と言えそうなラインナップです。

菜葉菜 いやぁ、改めて振り返ってみると、自分でも「こんなにやってんだな」って感じはありますよね。私、子どもの頃から習い事とかも本当に続いた試しがなくて。だから母親からもしみじみ言われるんです、「何事も続かなかったあなたがよくここまで続けてこられたわね」って。

――俳優業に関しては、これまで「辞めたい」と思ったことは一度も?

菜葉菜 もちろん何度かはあります。ただ、いま考えるとそれも本気の「辞めたい」ではなかったのかな、って。事務所の社長に「今年もこれまでと同じ感じだったら、来年はちょっともう考えたいです」みたいなことを直接言ったこともありますけど、でもたぶんそれって、「もっとかまって」みたいな気持ちの裏返し。何かにつけて「もう別れる」的なことをすぐに言う面倒くさい人ってわりといると思いますけど、それに近いものがあったな、と。

――そういった気持ちの揺らぎがなくなったのは、やはり経験を重ねて、自信に“根拠”ができたから?

菜葉菜 うーん。自信は今もないんですけど、でもなんだろ、演じることが好きっていうのが、やっぱり一番大きい気はします。何もわからずとにかく必死だった若いときより、今のほうがより難しさは感じるけど、そのぶん逆に面白さもわかる。“難しいけど面白い”っていう、そのちょっとした中毒性のおかげで、今日まで続けていられるのかなって。

――「演じたい」という内面的な欲求の部分ではどうでしょう。昔と今とではスタンスや心境に変化も?

菜葉菜 もともとガツガツいくタイプではないんですけど、年齢を重ねるにつれて、そういう気持ちがさらに薄まってきた感じはありますね(笑)。もうちょっと前のめりになれたらいいのに、とは自分でも思いますけど、そこはもう性格なので。「演じたい」欲求がどんどん湧いてくる一方で、どこかで「なるようになる」とも思ってる。今はそんな感じでやっていますね。

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