ChatGPTを生み出した起業家は、なぜ核融合エネルギーに情熱を注ぐのか?

ある科学者は言う「気候危機に根拠はない」と。 ある投資家は言う「SDGsに逆張りしたほうが儲かる」と。彼らがいかに否定しようとも “グリーン経済”は大きく動き始めている。 世界で今、起こっているこのムーブメントの最前線をリポートする――。

人工知能のボット「ChatGPT」が、世間を賑わせ続けている。今や本屋に行くと、ChatGPTや生成AIといった旬なテーマを取り扱った雑誌や本などが、積まれているスペースが目に入ってくる。

では、今もっともホットなテクノロジーの「A面」がChatGPTだとしたら、同じレコードの反対側にある「B面」が核融合テクノロジーだと、気づいている人はいるだろうか。

というのも先月、ChatGPTを開発するシリコンバレーのスタートアップ、OpenAIのサム・アルトマンCEOがこんなツイートをしているからだ。

「マイクロソフトが、ヘリオンの核融合の電力を買ってくれる、最初のお客さまになりました」

アルトマンといえば、まだ30代にしてChatGPTで世界をあっと驚かせた鬼才だが、そんなビジョナリーが心血を注いできたテーマのもうひとつが、実は核融合なのだ。

その情熱は10年以上も前に遡る。彼はシリコンバレーの巨大なスタートアップ育成投資機関、Yコンビネーターのトップに就任した頃に、すでに核融合に注目していた。

それまではモバイルアプリに代表される、ソフトウェア分野を主に支援していたワイコンビネーター。しかしアルトマンは、核融合スタートアップへの支援を決める。さらに2021年、アルトマンはこの核融合スタートアップのヘリオンエナジー社に3億7500万ドル(約500億円)を投資している。つまり、アルトマンは個人の財産を使って、この会社の会長になっているのだ。

なぜ最先端のAIをつくっている男が、核融合なのか――。実は、彼の頭の中では「人工知能」「核融合」「ブロックチェーン」の3つは、分かち難くつながっている。その仕組は、次の通り。

世界の知的産業は、これからますます人工知能が行うことになるだろう。現在始まったようなオフィスワークのお手伝いといったレベルではなく、新しい科学的な発見も、これから人工知能によってもたらされるはずだ。

そこで必要になる大量の電力は、安くて、クリーンでなければならない。そこにぴったりフィットするのが、核融合のテクノロジーというわけだ。

格安のエネルギーによって、社会はどんどんAIで回るようになってゆく――。その時に、人間を人間として認証するテクノロジーこそブロックチェーンだ。アルトマンはブロックチェーンと虹彩を使って個人認証をする「ワールドコイン」というスタートアップも引っ張っている。

彼の描く未来では、こうして人工知能と核融合、そしてブロックチェーンというのが、人類に欠かせないインフラになっているというわけだ。

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