――走ることもなく止まることもなく、自分のペースで歩き続ける。生まれ育った北海道で自由に活動を続けるアーティストが愛するルーツ・ミュージックを探る。
(写真/宇佐美 亮)
北海道・札幌市にて音楽活動を続けるR&Bシンガー・笠原瑠斗。その伸びやかで自由な歌声と心地良いグルーヴ感溢れるサウンドは、地元を超えて幅広い層から支持されている。取材当日に行われたタワーレコード渋谷店でのインストアライブのため東京に到着したばかりの彼は、都会の暑苦しさにうっすらと汗を浮かべながら、屈託のない笑顔で応じてくれた。
――お住まいはずっと北海道ですか?
「ずっと札幌です。性格がまったりしているので、合う場所が限られちゃうんです。ずっとお世話になってるYouth of Rootsっていうレゲエバンドのメンバーが横浜のほうに住んでいるんですけど、札幌と神奈川は環境が少し似ている。自然が近く広々していて、そういう場所に惹かれるというか、落ち着くんですよね」
――R&Bとの出会いというのは?
「高校のときにボイトレに1年間ぐらい通っていたんですが、先生がブラックストリートの『(Money Can't) Buy Me Love』を流していて、聴いた瞬間に今までかっこいいと思っていた音楽の概念が全部ひっくり返っちゃったんです。稲妻が走りました。そこからは夢中で、自分で音楽を掘り下げ始めて」
――ニューヨークへ留学もされ、現地ではオープンマイクにも参加されたとか。
「昨日、その時の映像が古いPCからたまたま出てきたんですよ。観客に向かってコール&レスポンスとかしてて(笑)。若いからヘンに堂々としてました。とにかく、純粋かつ大胆。大人になればなるほど閉鎖的になってくるので、今見て得るものがありました」