「使用罪」創設でも医療用は解禁 ニッポン大麻政策の矛盾と行方

――大麻の「使用罪」創設が検討される──。2021年1月にそんなニュースが報じられた後、厚労省で大麻取締法改正の議論が重ねられたが、その中で「医療用」大麻の解禁も示されている。また22年、故・安倍元首相は「産業用」大麻の勉強会を開き、岸田政権の「骨太の方針」には大麻の記述も。ニッポンの大麻政策はどこへ向かう?

◉岸田首相も「解禁」を推奨!?
日本の大麻政策を読み解くキーワード

――次ページ以降で述べる通り、厚労省で大麻取締法の改正が議論されてきたが、この国の大麻政策の今後を考える上で重要なポイントを整理した。

大麻に関する一文あり
〈骨太の方針〉

2022年6月、骨太の方針が閣議決定され、そこには「大麻に関する制度を見直し、大麻由来医薬品の利用等に向けた必要な環境整備を進める」という一文も。具体的なことは書かれていないが、岸田首相は「解禁」に乗り気?


警察は尿検査をしまくる……?
〈使用罪〉

大麻にはなかった使用罪。厚労省はこれを新設する方向性を示しているが、世界の潮流に逆行する厳罰化だと批判する声がある。あるいは、「医療用解禁」だけだと「日本も大麻を合法化する」と世間やメディアに受け取られかねないため、バランスを取ったという見立ても。しかし実際に導入されたら、警察は職質で尿検査をしまくるのだろうか……。


ハードルが高い栽培
〈産業用〉

2022年4月、故・安倍元首相をはじめとした自民党有志が、神社のしめ縄など産業用大麻の振興を目指す勉強会を国会内で開催。また近年、欧米では麻の茎の屑と石灰を混ぜたヘンプクリートが脱炭素の建材として注目されている。だが現状、大麻取扱者免許の取得は容易ではなく、栽培の管理も厳しい制約があり、21年時点で大麻栽培者は27人のみ。こうした状況を受けてか、厚労省は栽培をめぐる規制緩和の動きも見せている。


エビデンスがある薬は認める
〈医療用〉

厚労省はカンナビノイド医薬品について、有効性・安全性が確認され、薬機法に基づき承認されたものは輸入、製造、使用を可能とする方向性を示す。その中で、諸外国で承認済みのCBDを用いた難治性てんかん治療薬エピディオレックスを例示。また、海外にはサティベックスのようなTHCを含む医薬品もあるが、エビデンスのあるものは認めるかも?


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