「自分もカルト化してしまうかもしれない恐怖がある」映画監督・白石晃士が“カルト性”を描き続ける理由

「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」シリーズや『オカルトの森へようこそTHE MOVIE』など、意欲的なフェイクドキュメンタリー作品を発表してきた白石晃士監督。そんな同氏が作品の中で一貫して“カルト性“を描いてきた背景には、自身の出自や経験があった――。

白石晃士氏の著書『フェイクドキュメンタリーの教科書』(誠文堂新光社)。

数多くのフェイクドキュメンタリー作品を手がける白石氏だが、今年8月に公開された映画『オカルトの森へようこそ THE MOVIE』での新興宗教団体など、同氏の作品にはカルト集団が登場することも多い。白石氏は自身の作家性として、カルト集団や社会の中にあるカルト性をテーマとして自覚的に扱っていると話す。

「私にとって“カルト性”は、集団であれば同一集団内で考え方や視野が狭くなって過激化し、現実から乖離して過剰な行動へと移っていくことと捉えています。これは宗教団体に限らず、個人がカルト化してしまう場合もあります。たとえば、私の『オカルト』という作品では、地下鉄サリン事件をモチーフとして、実行犯であるいち個人がだんだんと思想が先鋭化し、カルトとなっていくさまを描いています」

ほかにも、陰謀めいた集団の影がちらつく『カルト』や、上下関係が異常に厳しいサークルの暴力性を過剰に戯画化的に描いた自主映画『暴力人間』、オカルト込みの政治的思惑を持ったカルト集団の存在が明かされる「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」シリーズなど、白石監督作品とカルトの関わりは枚挙に暇がない。

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2024.11.23 UP DATE

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