なぜ統一教会をディスるのか 〈ひろゆき〉の胸の内と宗教観

元2ちゃんねる管理人であり、近年は「論破王」の異名を取って若者たちにも人気のインフルエンサー、ひろゆき。今、彼が旧統一教会を手厳しく批判する理由とは――。宗教、カルト、そして同教団について独自の考えをZoomでたっぷり語ってもらったが、写真は在住するパリで撮り下ろし!

(写真/新村真理)

2000年代に「壺」といえばネット民なら2ちゃんねるのトップページをすぐに想起したが、今ではすっかり壺=統一教会になった。

山上徹也容疑者による安倍晋三元首相の狙撃事件以降、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)をめぐる問題についてツイッター、ネット番組『ABEMA Prime』(ABEMA)、自身のYouTubeチャンネルなどで厳しく追及しているのが元2ちゃんねる管理人のひろゆきだ。

彼は何が問題だと思い、なぜ積極的に発言しているのか──。仏パリ在住の本人に訊いた。

あの事件が起きなければ創価学会的ポジションに

──ひろゆきさんが旧統一教会について指摘しているのは、「自民党の政治家に対して無償で選挙協力することで、お願いごとを断れないような状態にして影響力を行使しているから問題。ここで統一教会を止めないと、ほかの団体にまで同じ手法での政治への接近が広がる」ということですよね?

ひろゆき はい。あとは、宗教法人は信者からの寄付が非課税だったりするんですけど、旧統一教会の場合、信者を洗脳し高額商品を売りつけたりして得たお金が外国に毎年200〜300億円も流れ続けているわけですよね。それって日本の社会福祉になんの役にも立っていない。宗教法人法によると、なんらかの違法行為や宗教法人としておかしな行為があった場合、質問を投げたり代表者に説明させたりする権限を文部科学省が持っているわけなんで、大臣が権限を使って宗教法人資格を停止するほうがいいと思っています。要は、ただの民間団体にしてしまえばいい。その上で民間企業の場合、反社会的な違法行為をしている団体がビジネスでもうけていたら暴対法(暴力団対策法)に引っかかったりするし、脱税してるかどうか税務署のチェックも入る。旧統一教会も別に違法行為をしていないならアリだと思うんですよ。例えば、ホストでもキャバクラでも原価1万円のものを客に10万円で売る、みたいなのはよくあることですから。でも、違法行為をしているかどうかの調査すら、国がしていない。

──今回の特集では宗教とカルトの境界を問うてもいきますが、メディアで報じられてときどき問題になる例として、エホバの証人の輸血拒否がありますよね。あれはどう思います?

ひろゆき 大人が本人の信仰でそうするのは自由ですけど、僕は未成年にそれを強制するのは日本でも違法にすべきだと思っています。フランスでは違法です。そういう問題に対して介入できるようにするために、こども庁まわりで子どもコミッショナー制度とかを構想していたのに、旧統一教会とベッタリな山谷えり子議員が潰したわけですけど。

あの事件があった当日、自身のYouTubeチャンネルで「無敵の人を減らすために出来ることを徒然と。」と題した動画をアップした。

──では、いわゆるスピ系については?

ひろゆき ホストクラブと同じで、統一教会みたいに違法行為と他者への勧誘さえなければ、個人がおかしなものにハマったり、お金を払ったりするのは、別に好きにすればいいんじゃないですか?

──創価学会と公明党の関係はどう思います?

ひろゆき 創価学会が統一教会みたいに霊感商法の被害について民事裁判で判決が出てるとかなら調査すべきとは思いますが、その点に関しては少なくとも最近は「強引に折伏した」という話も聞いたことがないですからね。

ただ、「政教分離」という意味では公明党ががっつり与党なので、一線は完全に越えている。フランスの場合、政治と宗教を完全に分ける、宗教的なシンボルを公共の場に持ち込んじゃダメという法律がある。日本はそのへんの区別がユルいので、今後もどんどん宗教が入ってきちゃうんじゃないですかね。自民党の憲法改正案も政教分離をなくそうとしていますし。

すでに宗教票は政治家にとって重要になっていて、今は統一教会ばかり注目されていますけど、そもそも創価学会員の協力がなければ自民党は選挙で勝てない。だから順番としては、「創価学会と公明党の関係が許されるんだから、統一教会に選挙を手伝ってもらうのだって許されるだろう」という感じになってきて、でも政治家はなるべく隠していたのが、安倍元首相が表立ってメッセージを出すようになって、それがなし崩しになっていった。もし今回の山上徹也容疑者による事件が起こらなかったら、騒がれることもなくズルズルと政界との癒着が深まって、統一教会が創価学会的なポジションに収まっていた可能性もあるんじゃないですか? 豊かじゃない人ほど宗教にハマりやすいですから、これから日本が経済的に貧しくなっていくほどに、固定票としての宗教票の価値はさらに高まっていくと思います。

──フランスでも80年代末から公立学校でのムスリム女子学生のヒジャブ(スカーフ)着用をめぐって論争が起き、いわゆるスカーフ禁止法(2004年)、ブルカ(顔を覆うベール)禁止法(10年)の制定後も議論が完全に終わっていないところはありますが、「日本でもフランスのような反カルト法(反セクト法)を作れ」という議論については?

ひろゆき 日本で「反セクト法があったほうがいい」と言うと、「宗教を規制するのは難しい」と反論する人が多いんですけど、あれは「違法行為をする団体は政府の監視下に置いたり、命令で解散させたりしますよ」という、日本でいえば暴対法に近いものなんですよ。対象は別に宗教団体に絞っていない。「宗教だから規制します」じゃなくて、「違法行為に対して『末端の人がやっただけです』という言い訳ができないようにする」なんです。そこが理解されていない現状では、日本での制定はハードルが高いんじゃないですかね。

──カルトか否かの線引きは、どういうところにあると思いますか?

ひろゆき わかりやすく言うと、教祖が死んで100年たってるかどうか。新興宗教って大体、教祖自身が幸せになるためにグループを作るわけです。2代目、3代目くらいまでは、そのおこぼれにあずかる。それよりさらに生き残れる団体は、社会の中で互助会的な機能を果たしているか、それなりに意味のあることを言っていないと無理ですから。

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