YouTubeチャンネル「タビオロジ -TABIOLOGY-」より。左より、おーつかさん、つださん。
「旅行系YouTuber」と呼ばれる人たちがいる。その存在自体はすでに目新しいものではなく、何十万人もの登録者を抱えるチャンネルも珍しくはないが、視聴者の立場からすれば、コロナ禍で活動に支障を来しているのではないかと心配になってしまう。
そんな中、人気が上昇しているのが「タビオロジ -TABIOLOGY-」だ。「つだ」と「おーつか」と名乗るバックパッカーの青年たちが「世界196カ国制覇」を掲げて旅するチャンネルで、これまで東南/南/中央アジア、中東、東欧、中南米を巡り、現在も旅は継続中。それぞれの動画では、切り詰めた自身の日常生活と共に、各地の食をはじめとしたローカル文化が愉快に紹介される一方、時にその土地の社会・経済・歴史の闇にふらりと踏み込み、見る者に衝撃を与えることもある。
こうしたチャンネルを運営する彼らは一体、何者なのか? 7月、ボリビアに滞在していた2人にZoomで話を聞くと、今この時代におけるリアルなバックパッカー像も浮かび上がってきた。(取材・文=須藤輝)
――まず、簡単なバックグラウンドからお聞きしたいのですが、お2人は高校の同級生なんですよね?
おーつか はい。2人とも1996年生まれで、1回だけクラスメイトになったことがある友達ですね。名古屋市の愛工大名電(愛知工業大学名電高等学校)に通っていたんですけど、通学ルートが重なっていたこともあって仲よくなった感じです。でも大学は別々で、僕は東京の東洋大学に進学して4年で卒業したんですけど……。
つだ 僕はもともと日本の大学に行くつもりはなくて。高校を卒業してから半年間、ロンドンに語学留学して、その後、リバプール大学に2年ちょっと行って中退しました。
――バックパッキングは大学時代に始めたんですか?
つだ そうですね。僕が初めてひとりで海外に行ったのは今言った語学留学だったんですけど、その後、バックパッカーにあこがれて。大学の夏休みにフィリピンとベトナムにひとりで行って、カンボジアでおーつかと合流したりしていました。
おーつか 彼は英語が達者だったので、助かりましたね。
――ちなみに就職は?
つだ 2人とも1回もしてないです。ただ、このタビオロジを始める前に、お互いに100万円ずつ貯める約束をしたので、僕は1年間、日本でバイトしていました。
おーつか 僕は普通に就職活動をして、就職先も決まっていました。でも、大学4年の6月につだから電話がかかってきて、毎年行っている夏休みのバックパッキングの連絡だろうと思ったら、「大学辞めて一緒にYouTuberになろう」と。僕は一回その誘いを断ったんですけど、大学最後の夏休みに旅したら楽しくなっちゃって。まだ若いし、急いで就職しなくてもいいかなと。
――つださんは、その時点で「YouTuberとして食っていける」みたいな目算があったんですか?
つだ というよりも、当時、僕はリバプール大学でビジネスを勉強していて、将来は自分で何か事業を立ち上げたいとか考えていたんです。でも、それもなんか違うかもと思い始めて、最終的に「自分のやりたいことだけやって食っていきたい」となりまして。じゃあ、自分が一番没頭できることは何かといったら、旅なんですよね。例えば、知らない土地に降り立ったときの高揚感とかは旅以外では味わえないし、その旅をYouTubeで公開して収益化できたら最高じゃんという、甘い考えから始まった感じです。
――親御さんに反対されたりは?
つだ 僕の両親はわりと放任主義というか、基本的には「自分で決めたことだったらいいよ」と、応援してくれました。
おーつか 僕はしっかり反対されました。「就職を辞退するのは本人の自由にしても、YouTuberってのはどうなんだ?」みたいな。そこが一番のネックだったんですけど、1年の間に収益化できなかったら日本に帰ってくるという条件付きで、なんとか説得できて。結果、ギリギリ収益化できたので、旅を始めてから3年以上、日本に帰らずに済んでいます。