米林宏昌監督の『思い出のマーニー』。少女2人の心の交流に焦点を当てて、描かれている。
――宮崎駿・高畑勲監督作品にはSDGsに通じる作品が多い。しかし、ほかの監督作品は……? この断絶について考察をしていこう。
『思い出のマーニー』『コクリコ坂から』『猫の恩返し』など、高畑と宮崎の監督作品とそのほかの監督作品を比較すると、これらの作品にSDGsへと通じるような問題意識は希薄だ。
なぜ高畑・宮崎両氏以外のスタジオジブリの作品は、こうした仕上がりになるのだろうか?
「ジブリで学ぶSDGs【2】」でも触れた通り、高畑・宮崎の精神的支柱は、2人が当時所属していた東映動画上層部(主に経営側)との折衝で培われた部分が大きいだろう。上部組織による現実的な抑圧が、個々の問題意識を高めていく要因となっていたことが想像できる。