──いまや世界の映画・ドラマ市場を席巻している韓国の映像作品たち。さまざまな観点で評価を受けているわけだが、映画ファンの間ではそんな同国の映画の濡れ場が強烈だという見方があるという。映画ライターとして長く活動を続ける筆者が、強烈な濡れ場を描いた韓国映画を厳選して紹介する──。
たしかになんともいえない色気漂うチョン・ドヨン。(GettyImagesより)
「韓国映画の濡れ場は強烈にエロい」──そんな話をよく聞く。基本的に日本のAVのようにモザイクはかからず、見えるか見えないかのギリギリを攻めてくるが、日本のそれよりも激しいものが多い。筆者が特にこれは見るべきと思った作品を、順に紹介していこう。
例えば『地獄まで90分』(2012年)では、それまでソフトなイケメン役が多かったチュ・サンウクが初の汚れ役に挑戦。CF製作者のサンヒ(サンウク)は仕事を餌に新人や若手女優を弄び、出世のためだけに財閥令嬢と結婚、その義母とも関係を持つどうしようもないクズだが、財閥グループの後継者になるための就任式前日にも娼婦ヘリ(チャン・ミイネ)とホテルで密会。ヘリの肉体に溺れながら「愛してる」といってしまったがためにサンヒは脅され、弄んだ女たちへの謝罪行脚をさせられる地獄のような90分(映画の上映時間も90分)を体験させられる。
そこでサンウクとミイネのベッドシーンだ。角度的に本当に挿入しているようにも見えるし、なにしろ腰の動きが凄まじい。邦画の濡れ場であんなに腰を振るシーンはまずないだろう。見えるか見えないかよりも、いやらしいよ!
ほかにもある。70年代、国際スポーツ誘致のために行われた南ソウル、江南開発を背景にした『江南ブルース』(15年)では、身寄りのない孤児2人がヤクザ者となり、政治家が暗躍する江南地域の地上げに巻き込まれていく骨太のアクションだがこれにも濡れ場もあり、人気アイドルグループ、AOAのソリョンとモデル出身のイ・ヨンドゥがこれまた激しい腰の動きなので、えぐすぎたせいかボカシを入れられてしまった。
上記2作はサスペンス、アクションのジャンルだが、そのままズバリ性愛がテーマの映画でも、なかなかにハードだ。
70代の大物詩人が小説家として成功して独立しようとする弟子の代わりに、世話係として雇った女子高生に惹かれていく『ウンギョ 青い蜜』(12年)では、純朴でとぼけたところのある少女ウンギョを演じたキム・ゴウンはなんと、本作がデビュー作。セクシーとかエロスから一番縁遠いところにいるようなゴウンに、男たちが翻弄されるという、露骨すぎる濡れ場に息を呑む。