【guca owl】「ヒップホップの本質はテロに近い」“大人”との対立を歌うラッパーの普遍的な爆弾

――人気急上昇中の新星ラッパー、guca owl。美しいメロディに乗りながら“大人”との衝突を吐露するそのラップは、若者たちの自由を奪う社会の秩序をクールに破壊する。

(写真/横山純)

“guca owl”と書いて“グカール”と読む。新世代のラッパーの中でも特に注目を集めるアーティストだ。以前はowl kid(アウル・キッド)という名前で活動していたが、“guca”(ジー・ユー・カ=自由化)という意味を込めた文字を頭に付け、大空へと羽ばたいた。あるいは彼の歌は、夜の闇に紛れたowl=フクロウとして、街を彷徨う若者たちに「お前は本当に“自由か?”」と問いかけるような、現代のブルーズともいえる普遍的な響きを持っている。

「地元は東大阪市の花園っていう所です。花園ラグビー場がある場所ってことで知られてますけど、オレにとっては工場の街ですね。小さい町工場がたくさん建っていて、金を持ってるのは現場の親方か、工場長くらいで。周りは母子家庭が多かったです。うちもそう」。guca owlは、今も自分と仲間たちの工場ならぬスタジオを構えているホームタウンをそう紹介する。その小さな街で彼の転機となったのは、高校1年生のときだった。「ヤンチャな子らはまぁ普通にいる街だと思います。自分はサッカーをずっとやっていたんですけど、中3で部活を引退した後、そういう子たちと付き合うようになって。でも、1年ぐらいたってサッカー友達と再会したとき、“こっちがオレの本当の居場所だ”と思って、チームを抜けた。結構ゴチャって、一対一で喧嘩みたいな儀式もさせられましたね。今、一緒に活動してる〈WILD SIDE〉ってクルーはサッカーつながりの奴も多い。不良の子たちはそのまま、その道に進んでるんじゃないかな」。選んだ仲間の先に音楽があったのだ。

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2024.11.21 UP DATE

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