20年前に覚えたあの手法を あいちトリエンナーレでも
N 目立ちたがりの最たる例が、2019年8月に起きた「あいちトリエンナーレ2019」の騒動。企画展「表現の不自由展・その後」で展示されていた、昭和天皇をモチーフにした作品や平和の少女像が「日本人の心を踏みにじるもの」だとして河村は反発し、あいちトリエンナーレの実行委員会会長である愛知県の大村秀章知事と激しく対立した。そこでも、校舎建て替え反対運動のときのように、展示撤回を求めて会場や愛知県庁前で座り込みをしたんだよ。
C また座り込み(笑)。
N そして、その不自由展への抗議をきっかけに、河村は2020年6月、高須クリニックの高須克弥院長らと共に大村知事の責任を問いたいとしてリコール(解職要求)運動を開始した。
A 河村が表現の自由について何かイデオロギーを持ってやったと思えない。実際、2021年7月に「表現の不自由展・その後」を再展示するという企画には、「市が制作費を出すわけでも、主催事業でもない」からと、市営ギャラリーの使用をあっさり許可しとる。結局、会場に届いた郵便物の破裂事件で中止になったけどさ。
B そもそも「表現の不自由展」というのは、赤瀬川原平(1937~2014年)が1967年に行った同名の展覧会へのオマージュなんだよね。旭丘高校って美術科も優秀で、そこの出身である赤瀬川原平は、千円札裁判(1963~70年、赤瀬川による千円札を模した作品が法に抵触するかどうか争われた裁判)をはじめ、表現の自由をまさに問うてきたといえる前衛芸術家。……ということについて、河村はまったく知らなかったのかなぁ。
A 河村と大村は、以前から税制でも対立しとったし、空見ふ頭の大規模展示場構想では大村知事が反対して河村が断念しとるんだよね。2人の個人的なバトルに、あの展覧会がのみ込まれただけのように見える。
N ともあれ、解職を求める署名活動では8割以上に偽造があったことが発覚したよね。名古屋地検は地方自治法違反(署名偽造)罪で、リコール団体事務局長や署名偽造のためのアルバイトを集めたとされる広告関連会社の元社長らを起訴した。河村はリコール運動には「応援団」として加わっただけで、偽造には「関与しなかった」と逃げて、高須院長に絶交宣言されている。
D 河村は署名活動にどこまで関わっていたんだろう? 本当に、ただの「応援団」だったのか……。
A 河村って、2010年に市議会でリコール(議会の解散請求)運動を主導したんだよね。そのときは、必要な数を大きく上回る署名が集まり、住民投票が行われ、議会が解散。政令指定都市初の議会リコールが成立した。要は、座り込みは20年前に覚えて、リコールは10年前に覚えた手法だともいえる。
B で、金メダルかじり騒動を経て、直筆の謝罪文という手法を覚えたかもしれない(笑)。