安倍晋三、中川昭一によるNHK番組改変16年目の真実

――ビデオジャーナリストと社会学者が紡ぐ、ネットの新境地

[今月のゲスト]

長井 暁(ながい・さとる)
[ジャーナリスト、元NHKチーフ・プロデューサー]

1962年、東京都生まれ。87年、東京学芸大学教育学部卒業。同年NHKに入局。ETV2001デスク、番組制作局チーフ・プロデューサーなどを歴任。2005年、ETV特集『戦争をどう裁くか』(01年放送)の自民党幹部からの圧力による番組改変を内部告発。09年退職。東京大学客員准教授などを歴任し現職。


――2001年、NHKが教育テレビ(現Eテレ)で放送を予定していたETV特集『戦争をどう裁くか』の放送内容を事前に知った自民党の安倍晋三、中川昭一両議員が番組の内容に注文を付け、放送直前になって、NHKの幹部が改変を命じたため現場は大混乱。あれから20年、ここで露呈したのは政治的圧力に対してはあまりにも脆弱なNHKの実態だった。

神保 今回のテーマはNHK問題ですが、以前にもNHKは何度となく扱っていますよね。なぜ、ひとつの会社のことで、こんなに何度も議論をしなければならないんだろう。

宮台 僕らは税金と同等の形で受信料を徴収されており、それがパブリックな使命を果たしていないのであれば、払わないか解体してもらうかのどちらかです。

神保 今日のゲストは、私にとっては16年来の念願が叶ったことになります。元NHKのチーフプロデューサーで、現在ジャーナリストの長井暁さんです。

私が長井さんと初めてお会いしたのは16年前、ETV特集『戦争をどう裁くか』(01年放送)が政治介入によって番組改変に追い込まれた時、同番組のデスクを務めていました長井さんは自民党の安倍晋三、中川昭一両議員らによって番組内容が無理やり改変に追い込まれた事実を内部告発されました。

私が長井さんと初めてお会いしたのは、まさにその内部告発を行う記者会見の場でした。その後、この番組改変問題は裁判にまでなりましたが、もともと政治介入の有無を争う裁判ではなかったので、言論への政治介入という大罪を犯した政治家が、責任を追及されず、結果的にその後、安倍さんは首相にまで上り詰めています。その意味で、この事件、つまりNHKが政治圧力に屈して番組を改変した事件は、後の日本の政治にも大きな影響を与えました。

宮台 本当に大きかった。介入したとすれば完全に不法行為ですから、政治家として辞任するかどうかに関係する問題です。

神保 それで私はマル激に出て「何があったのかを話してほしい」と長井さんにオファーを出したのですが、その時長井さんはまだNHKの職員だったこともあり、出演は実現しませんでした。

番組改変から20年、長井さんの内部告発からも16年がたってしまいましたが、今、長井さんはあの時の政治介入については、どう総括されているでしょうか。

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