邪魔なノイズは抑止する ANARCHYが歩む新たな物語

――2014年にエイベックスとの契約を結び、自身のレーベル〈CLOUD 9 CLIQUE〉を傘下に新設したANARCHY。舞台を華やかな場所に移そうが、彼のスタンスは何も変わらず、計3枚のアルバムをリリースし、より多くのプロップスを手にした。18年には自らのクリエイティブ・プロダクションとなる〈1% | ONEPERCENT〉を設立、映画『WALKING MAN』(19年)では監督業に挑むなど、順風満帆のように思われた――が、今年4月に1%から離脱し、新たに〈THE NEVER SURRENDERS〉なるクリエイトチームを立ち上げたことが判明。去る6月にリリースされたアルバム『NOISE CANCEL』は、そんな新生ANARCHYの門出を祝す作品となったわけだが、現在に至るまでの道程にはどのような物語があったのか? 彼が見た決別の先の未来を問う。

(写真/cherry chill will.)

――主題に入る前に、14年に契約を結び19年に契約満了となった、エイベックスというメジャーレーベルでの活動を振り返ってもらいたいんですが、そこで得たものとはなんでしたか?

ANARCHY “メジャー”というフィールドを意識して制作できたことが一番の財産だったと思ってます。そもそもインディでやってきたことを違う場所に届けられる、という希望を持ってメジャーに移籍したんで。やれたこともあったし、もちろんやれなかったこともあるけど、得たものは“今の自分”ですかね。今回の『NOISE CANCEL』ができたのもそのおかげだと思ってますから。

――窮屈に感じたことはなかった?

ANARCHY 縛られてた感覚はないっすよ。自由に向き合えてたと思うし、不安もなかった。比喩表現っていうのかな、言ったらあかん言葉だったり、過激に思われるようなリリックに対してもそこまで指摘されることもなかった。ただ、僕の好きなサンプリングをしたヒップホップは(許諾の面で)実現できなかった苦労はありましたけどね。

――今でこそラッパーがメジャーに籍を移すことがディスの対象にもならない時代となりましたが、契約締結の時点でやっかみなんかはあったんですか?

ANARCHY 「昔のANARCHYがよかった」「メジャー行って死んだな」とか言われましたよ。でも、そう言われることが勝負してる証拠だと思ってたんで。もともとディスに対する怖さもなかったし、インディとメジャーではやることが違うのは当たり前。サウンドも大幅に変わったし、僕としては「良い音楽は良い」と言える世の中にしたかった。「ANARCHYは裏の力を使ってる」とか言われたとして、どんな力を使おうが、良い音楽を作るのがアーティストだと思ってますから。じゃないと人に届くわけがない。そういう意識で制作に臨んでました。

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