ド定番の「旭ポンズ」に創味の新製品も! 関西の激ウマ「ポン酢」を紹介

 冬の夕食の定番の鍋。新型コロナウイルスの感染拡大が続く今冬は、「巣ごもりしながら普段より美味しい鍋を……」とさまざまな鍋に挑戦している人も多いことだろう。

 そんな人にぜひ試してもらいたいのが、「つけダレのポン酢を“ちょっといいもの”に変えること」だ。

 ほどよい酸味が素材の味を引き立ててくれるポン酢は、シンプルな鍋なら何にでも合う万能のつけダレ。昆布で出汁をとるのみの関西風の「水炊き」などとは特に相性抜群だ。

 そしてシンプルな鍋と合わせることが多いゆえ、ポン酢は「ポン酢自体の美味しさ」が鍋の出来の良し悪しを大きく左右する。ゆえに、自分の好みに合う美味しいポン酢さえ見つけられれば、どんなシンプルな鍋でも極上の料理に生まれ変わるのだ!

 そこで本稿では、最近評判の2つの高級ポン酢を紹介。メーカー担当者のコメントも交え、その美味しさの秘密に迫る!

柑橘系の香りが芳醇! やしきたかじん絶賛の『旭ポンズ』

 まず一つ目は、大阪府八尾市の旭食品が1967年(昭和42年)から販売を続ける「旭ポンズ」。故・やしきたかじん氏が生前に絶賛を続けたポン酢として知られ、大阪を中心とした関西圏では愛用者も多いはずだ。

 埼玉で生まれ育った筆者は、最近やっと初体験。同製品のキャッチコピーは「完全味付け 喰べてびっくり 旭ポンズ」だが、栓を開けた瞬間、搾りたてのゆずのような柑橘系の香りにまず驚いた!

 初代社長の高田耕治が手書きで仕上げたパッケージには、大きくゆずが描かれているが、原材料を見ると柑橘果汁はすだち、ゆこう、ゆずの3種類が入っている。この香りの鮮やかさの秘密は何なのか。

これが極上ポン酢として知られる『旭ポンズ』。筆者が購入した店舗では価格は721円(360ml)だった。シンプルな鍋とは相性抜群!

「すだちとゆこうは徳島、ゆずは高知のもので、農家さんが絞った果汁を大阪の工場まで冷蔵で送っています。一般的にポン酢製品の果汁は冷凍のものが多いので、冷蔵で輸送する当社の製品は香りがより生きていると感じられるのではないでしょうか。また製品の鮮度を保つため、王冠(金属製の蓋)で栓をしているのも『旭ポンズ』の特徴です」(旭食品 取締役常務 高田浩徳氏)

 その『旭ポンズ』の製法は1967年の誕生以来「ベースはほとんど変わっていない」とのこと。昔ながらの丁寧な作り方を維持することが、美味しさの秘訣となっているわけだ。

 そして食べてみて感じたのは、その味のシャープさ。香りが爽やかなだけでなく、醤油には出汁がしっかり効いており、味わいは芳醇かつ濃厚。水炊きや湯豆腐なども非常に美味しくいただけた。

「出汁にはいわし、さば、かつおなどの混合節と、利尻昆布やしいたけを使っています。愛用者の方からは、香りの良さのほか、『味がしっかり濃いので鍋を食べてても薄まらない』という評価をいただくことも多いです。味付けが昆布だしのみの鍋でも、野菜を美味しく食べられるはずです」(旭食品 高田氏)

旭食品のホームページでも『旭ポンズ』の食べ方としてオススメされていた「みぞれ湯豆腐」。確かに相性抜群の美味しさだった!

『旭ポンズ』は濃厚かつシャープな味わいのため、鍋以外の料理にも合うものは多いという。

「脂っこい料理との相性もよく、焼肉屋さんで旭ポンズを使っていただいているお店もあります。東京のこってり系のラーメン店で味付けに旭ポンズを使用しているお店もありますね。餃子のタレにしても美味しいですし、もちろんお魚にも合います」(旭食品 高田氏)

こちらは『旭ポンズ』の瓶にもオススメの食べ方として書かれていた「たたき」。爽やかな柑橘系の風味が魚の美味しさを何倍にも引き立ててくれるのを実感できた!

 では、高田さんご自身がよく実践している『旭ポンズ』の食べ方は?

「手巻き寿司では『旭ポンズ』で酢飯を作ることも多いです。あと昔から定番なのは、タッパーで卵の黄身を『旭ポンズ』に漬け込んで冷蔵庫で1日冷やし、ご飯に乗せて鰹節をかけて食べる……という食べ方です」(旭食品 高田氏)

 どちらも想像しただけで美味しそう……! 気になる人はチャレンジしてみよう。

ポン酢界では異例の大ヒット! 創味の「もみじおろしぽん酢」

 上記の旭ポンズは関西圏では有名なポン酢のため、「もう何年も使ってるよ!」という方もいただろう。そこでもうひとつ、ポン酢界の新星と言える製品も紹介しよう。

 それが2020年9月に新発売された創味食品の『聖護院かぶらのもみじおろしぽん酢』だ。なお創味食品は京都のメーカー。業務用・家庭用の両者で愛用者の多い中華調味料『創味シャンタン』や和風だしで有名だ。

 なお『聖護院かぶらのもみじおろしぽん酢』は発売直後から異例の売れ行きを記録。スーパーマーケットで日本最大級の購買データを持つ『カタリナマーケティングジャパン』の調査でも驚きの結果が出たという。

こちらが『聖護院かぶらのもみじおろしぽん酢』。筆者が購入した店では価格は645円(550g)。ややオレンジがかった色味も華やかだ。

「2020年下半期の『和風調味料・ソース』カテゴリーの新製品で、『聖護院かぶらのもみじおろしぽん酢』はダントツの1位の売上を記録※1しました。同調査のPOSデータによると、調査対象店舗のうちの約70%で本製品が販売されていて、新商品のぽん酢としては異例の店舗カバー率になっています」(創味食品 営業本部企画課 小幡友幸氏)

※1カタリナマーケティングジャパン調べ=20年7月6日~12月27日カタリナネットワーク内販売金額ベース

 なお『聖護院かぶらのもみじおろしぽん酢』は、もともと『創味のぽん酢』という名称で発売されていた製品をリニューアルしたもの。関西圏では『創味のぽん酢』のファンも多くいたそうだが、「全国ではまだまだ知られていなかったため、内容やパッケージ、商品名、内容量まで大幅に見直して新発売した形」とのことだ。

 では、『聖護院かぶらのもみじおろしぽん酢』は一体どんなポン酢なのか。

 まずお皿に出してみると、ポン酢としてはトロみが強い点が目が引く。商品名に「もみじおろし」とあるように、大根おろしがタップリと入っているのだ。そして柑橘系の香りには品があり、オレンジがかった色味も華やか。家庭用のポン酢としては抜群の高級感が漂っている。

 食べてみると、爽やかで深い味わいのなかに、まろやかな甘みも感じる。もみじおろしのトロみのおかげで、食材との絡みのよさも抜群だ。特に白菜やえのきとの相性が最高で、食材の甘さを品よく引き立ててくれた!

おろしがタップリ入っているので野菜との絡みの良さは抜群だ!

「一般的なポン酢製品にはむせるほど酸味が強いものも目立ちますが、本製品はおろしや野菜・果実の自然な甘みを生かし、まろやかに仕上げているのが特徴です。特に商品名にも入っている『聖護院かぶら』には繊細な甘みがあり、かぶ独特の風味も味のアクセントになっています。

 また、ゆずの果皮を使っているのも本製品の特徴です。細く削ったゆずの果皮は、京都の料亭の料理などにもよく使われますが、果皮の香りは果汁以上に華やか。本製品の香りも、その華やかさをイメージしています。ちょっとぜいたくな外食の味を、ご自宅でも楽しんでいただきたいというのが本製品のコンセプトなんです」(創味食品 小幡氏)

 そして、とろみや繊細な甘みが特徴の『聖護院かぶらのもみじおろしぽん酢』は、一般的なポン酢とは異なる料理にも活用が可能。「ノンオイルドレッシングのかわりにサラダにかけても、野菜によく絡みます」(創味食品 小幡氏)とのことだったが、これが本当に激ウマだった。

こちらは温野菜にかけて食べたとき。本製品は脂質ほぼゼロなので、野菜をヘルシーに美味しく食べられるのも魅力だ!

 そして肉料理との相性もいいという。

「揚げ物にかけるのもいいですし、餃子のタレにしても美味しいと思います。私個人の好きな食べ方は、しゃぶしゃぶ用の牛肉をホットプレートで軽く炙り、このポン酢につけて食べる『焼きしゃぶ』です。またオリーブオイルを足してカルパッチョのタレにしたりもできますし、そうした汎用性の高さも本製品の特徴かと思います」(創味食品 小幡氏)

餃子のタレからサラダのドレッシングにまで使える『聖護院かぶらのもみじおろしぽん酢』。「さすがは新世代のポン酢」と思わず唸る汎用性の高さだ!

「西高東低」が続いたポン酢文化も変化中?

 なお旭食品が大阪、創味食品が京都のメーカーという点からもわかるように、ポン酢は関西圏で広く食べられてきた調味料だ。

『醤油手帖 Vol.6 ~幸せのポン酢醤油編~』(杉村啓著、2014年)によると、関西の人気テレビ番組『たかじん胸いっぱい』の調査では、一般的なスーパーに置いてある平均ポン酢数は東京が6種類なのに対し、大阪は28種類。大阪駅近くの阪神梅田本店では実に50種以上のポン酢が並んでいたそうだ。

ポン酢の情報が満載のミニコミ『醤油手帖 Vol.6 ~幸せのポン酢醤油編~』。「旭ポンズ」もしっかり紹介されている。

 ポン酢の世界では「西高東低」が続いてきたわけだが、その状況も少しずつ変わってきているそうだ。

「現在も高級ポン酢の売上の約半分は関西ですが、近年は『関西の鍋=水炊き+ポン酢ばかり』というわけでは全くなく、多様な鍋やつけダレが食べられています。逆に近年の関東では、関西に引けをとらないほど、高級ポン酢がスーパーに置かれるようになりつつあります」(創味食品 小幡氏)

 なお筆者が両製品を購入したのは都内のイトーヨーカドーだったが、この2製品以外にも高価格帯のポン酢は複数ラインナップ。そうした“ちょっといいポン酢”は、棚でもっとも目を引く「目線の高さ」の位置に置かれていて、スーパー側の「高級ポン酢を広めたい」という意思も伝わってきた。なお旭食品の『旭ポンズ』についても「東京方面の店舗からの問い合わせが近年は増えています」とのこと。

都内の『イトーヨーカドー』大型店舗では両製品がポン酢コーナーの一番目立つ位置に両製品が置かれていた。ポン酢の種類は20種以上あった!

「ポン酢製品で最大手のミツカンさんが、ポン酢のPRやさまざまな食べ方の周知に熱心に取り組んでいることも大きいかと思います。我々の会社でも、ホームページに公開したポン酢のアレンジレシピは非常に好評で、『そんな食べ方あったんや!』という声は多くいただいています」(旭食品 高田氏)

 なおミツカンが制作した『味ぽんHISTORY』のウェブサイトには、味ポンの歴史が紹介されているが、その変化が面白い。

 2004年頃からは「醤油より塩分ひかえめ」という観点から、味ポンの使われ方が多様化。2013年には味ポンを使ったパスタ、2014年には味ポンと水の1:1で煮る「鶏のさっぱり煮」がブームに……との記述があった。そして同年あたりから、「調理の味付けに味ポンを使う」文化が広まったそうだ。

 この『味ぽんHISTORY』の記述からもわかるように、ポン酢は「塩分控えめ」で、料理の味を「さっぱり」まとめてくれる調味料として、近年は支持が広まっている。味わいは豊かなのに脂質がほぼゼロな点も、ヘルシー志向の今の社会に合っていたのだろう。

 鍋だけでなく日常の料理の幅を広げてくれて、ヘルシーな食生活の手助けもしてくれるポン酢。新しい製品にトライするなら、ぜひ今回紹介した2製品からどうぞ!

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