実在した「阿片王」も登場する!?――『満州アヘンスクワッド』禁断の麻薬と昭和の裏面史

――今もっとも注目されているマンガ、『満州アヘンスクワッド』をご存知だろうか。本作は満州という日本の傀儡国家を舞台にした、アヘンの製造と流通がテーマのクライムサスペンスだ。一体、なぜこのような歴史のタブーに挑戦するのか? 作者たちに語り合ってもらった。

(写真/Ikki Fukuda)

 時は昭和12(1937)年、場所は満州国。戦地で負傷し、右目の視力を失ったことから、軍の食糧を作る農業義勇軍に回された日方勇は、ある日、農場の片隅でケシが栽培されていることに気づき、やがて病気の母を救うためアヘンの密造に手を染める……。

 そんな刺激的な導入で始まるマンガ『満州アヘンスクワッド』(講談社)が今、注目を集めている。マンガアプリ「コミックDAYS」で連載中の本作は、8月11日に第1巻が発売されるや否や即重版が決定。11月現在では3刷に到達している。

 海外ドラマを思わせる壮大な世界観。史実と虚構の間を自由に行き来する、歴史モノならではの味わい。主人公・勇を中心に、中国に実在した秘密結社「青幇」の首領・杜月笙の娘という設定のオリジナルキャラクター・麗華など、個性豊かな登場人物が織りなす人間模様。そんな彼らが満州鉄道や満洲映画協会に侵入していくエンターテインメント性など、本作にはさまざまな魅力がこれでもかと詰め込まれている。

 一方で、このマンガはかなりタブーな歴史を物語にしている。というのも、1932年~45年の間、満州国は日本の傀儡国家として現在の中国東北部に存在し、そこではアヘンを利用した植民地政策が行われていたからだ。これは当時の政府によって組織的に遂行されたビジネスであり、現地の人々をアヘン中毒にすることによって得た資金は戦費などにあてられていた。さらにこの政策には、三井物産など今も残る日本企業が関係していたという史実もある。

 このように、さまざまな側面からも挑戦的な本作は、いかにして生み出されたのか? 作者である門馬司氏(原作)、鹿子氏(作画)、そして担当編集の白木英美氏にインタビューを敢行した。

麻薬密売に歴史要素……売る側の視点の物語

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