――ダンスフロアからの新たな刺客。DARUMAとJOMMYの画期的音楽探究。
(写真/岩澤高雄・The VOICE)
――本日の装いですが、お2人とも90年代を思い返さずにはいられないアイテムを着られてますね。
DJ DARUMA(以下、D)JOMMYがブーキャン【編註:ブート・キャンプ・クリック。ブラック・ムーンやスミフン・ウェッスン、ダ・ビートマイナーズらを中心に90年代前期に結成されたヒップホップ・クルー】のTシャツを着ていたんで、自分も負けじと、一旦パーカーを取りに自宅に帰りました。
JOMMY(以下、J) そして着てきたのが、ダックダウン・レコード【編註:ブーキャンのメンバーたちが在籍するヒップホップ・レーベル】。
――つまり、今回のテーマは90年代……。
D の、要素が感じられるGhetto Hollywoodこと、SITEくんのマンガ『少年イン・ザ・フッド』です。
――『週刊SPA!』(扶桑社)で連載中の青春を謳歌する学園ストリートマンガですね。
D 90年代と現在のストリートの空気感をうまくクロスオーバーさせていて、めっちゃリアルなマンガなんですよね。
J 90年代におけるミックステープ・カルチャーとか、懐かしい雰囲気もあるんだけど、それだけに偏っていないところがいいんだよね。
D 例えば、映画だと『パルプ・フィクション』(94年)や『ラスベガスをやっつけろ』(98年)なんかに見られる劇中でのドラッグの扱いに関するオマージュや、登場するヤクザのボスがシュグ・ナイトをもじった「内藤 傑」だったり、パブリック・エネミーやブラック・シープのアルバム・ジャケットをサンプリングしたタイトル画だったり。そういった90年代リスペクトがあった上で、去年オーバードースで亡くなったラッパーのジュース・ワールドに対してはタギングで「Rest In Peace」って追悼していたり。主張の入れ方が巧みで、オタク心をくすぐられる。
――確かにSITEの描写には「ドヤァ」のような慢心が見られないですよね。ちなみに彼は過去のインタビューで、「人種差別は絶対に許さないけど、ドラッグやグラフィティの罪は自己責任でOKという、ある意味Netflixのドラマに近いモラルのライン引きをしている」と話していました。