――今年は巣篭もり需要で虫除け剤が売れに売れたが、最近はスプレーや電池式の蚊取りセット以外にも「超音波」や「虫の嫌がる光」で虫除けを謳う機器も販売されている。2015年には「置くだけ」「吊るすだけ」の空間型の虫除け剤が「効果が期待できない」と景品表示法に引っかかったが、果たしてこれらの商品の効果は?
蚊取り線香は煙が効いているのではなく、高温で揮発する目に見えない化学物質ピレスロイドを蚊が忌避しているという。
殺虫剤や虫除け剤(忌避剤)の市場が、コロナ禍で思わぬ恩恵を受けている。「ベープリキッド」などで知られるフマキラーのマーケティング部が「J-CASTニュース」の「「自粛」「換気」で殺虫剤・防虫剤が好調 つり下げ型・網戸用など人気、前年比200%の製品も」という記事で語ったところによると、今年に入ってから市場全体で売り上げが「前年比約109%」を記録しているというのだ。理由としては、外出の自粛や部屋の換気が奨励されたことで、害虫に対する意識が高まったと考えられている。
殺虫剤・虫除け剤といえば、「キンチョール」のようなスプレータイプや、「バルサン」のような燻煙タイプ、「虫コナーズ」のような吊り下げタイプなど、さまざまなものが販売されており、虫の種類や使用環境によっては、そこからさらに細分化されていく。また、最近では薬品以外にも超音波や駆虫ライト、虫除けブレスレットといった商品も出回っているが、消費者として気になるのは「結局、どれが一番効くの?」や「そもそも、本当に効果があるの?」という点だろう。
例えば「吊るすだけ」「置くだけ」とパッケージに書かれた空間型の虫除け剤は、2015年に「優良誤認」に当たるとしてアース製薬、興和、大日本除虫菊(キンチョー)、フマキラーの4社が消費者庁から指導を受けている。優良誤認とはいわゆる不当表示にあたるもので「実際のものよりも著しく優良であると示すもの」「事実に相違して競争関係にある事業者に係るものよりも著しく優良であると示すもの」を指す。
確かに、煙や匂いの出る蚊取り線香や、直接噴霧するスプレーなどに比べて、空間型の虫除け剤や超音波などの防虫グッズは効果がいまいち実感しにくいといえる。そこで本稿では、これら虫除け剤の成分などについて識者に話を聞きながら「効果があるもの」と「効果を期待できないもの」などについて明らかにしていきたい。