【クロサカタツヤ×江口靖二】広告業界大慌て!? 屋外広告のデジタル化が引き起こす世紀のパラダイムシフト

通信・放送、そしてIT業界で活躍する気鋭のコンサルタントが失われたマス・マーケットを探索し、新しいビジネスプランをご提案!

●デジタルサイネージ向けディスプレイの上位6分野での普及状況(出典)総務省:平成31年3月29日「2020年に向けた社会全体のICT化 アクションプラン」 及び 「2020年東京大会に向けた提言」 のフォローアップより

――AIやIoT、AR/VRといった最新のテクノロジーによって、現実空間とサイバー空間との垣根はどんどんと低くなっている。その成果は、実験室のデモやエンタメ領域だけでなく、現実社会の僕らの仕事にも影響してきている。そんな大波が今まさに押し寄せているのが、OOHと呼ばれる屋外広告や交通広告の世界。ポスターを電子化するデジタルサイネージが、AIやIoTの力でより進化し、さまざまな領域で新たなパワーを発揮しようとしている。そんな変革は、今どこで、どんなふうに起きているのだろうか。

クロサカ 今月のゲストは、デジタルメディアコンサルタントの江口靖二さんです。江口さんとは、ビズライト・テクノロジーという会社の経営で、ご一緒しています。同社の田中博見社長には2016年6月号に登場していただいたことがありますが、今回はコロナ禍を受けて、IoTやAIを活用して、広告業界、その中でも屋外広告や交通広告の分野で新しい取り組みを始めました。そのあたりのお話を改めて聞いてみたいと思います。江口さんはもともとテクノロジー業界出身でも、広告業界出身でもないんですよね。

江口 僕はもともとテレビの人間で、15年ほど業界にいました。その後、世の中がインターネットの時代になったのでAOLに行って、その後にコンサルタントになったんです。その頃、あるお客さんから「デジタルサイネージって知っているか?」って聞かれたんですね。当時の僕は「どこのお寺ですか」って聞き返すくらい、まったく知らなかったんですが(笑)。詳しく聞いてみると、最初はケーブルテレビみたいなものかと思ったけど、自分なりに考えて「これはインターネットの新しいレイヤーのひとつ」「家以外の場所のメディアをデジタル化できる」って気がついて、そこから13~14年ほど首を突っ込んできました。

クロサカ 広告業界ではOOH【1】と呼ばれる分野ですね。でも、その頃は、あまりOOHという言葉はメジャーじゃなかった気がします。

江口 その言葉自体はあって、電通にもOOH局がありました。ただ、それはポスターとか看板とかアナログなものしか扱っていなかったんですよね。エポックメイキングだったのは、2002年に山手線で始まった「トレインチャンネル」【2】。それまでにも街角の大型ビジョンはあったけど、それは単なる街頭テレビという感じで、新しいメディアとしての広がる印象を与えたのはトレインチャンネルが最初だと思います。

クロサカ あれが出てきたことによって、屋外のモニターがメディアであり、広告モデルとして成立し、そのうえにいろいろな情報が流れる、ひとつのシステムなんだということが理解されるようになりました。DOOH(デジタル・アウト・オブ・ホーム)【3】のはしりですよね。

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2024.11.21 UP DATE

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