――本特集に登場した面々はもちろん、本誌が注目する大阪を中心としたラッパーたちの厳選15曲を紹介。ミュージックビデオと共に、その世界観を体感してほしい。
「アホばっか」(17年)
Jin Dogg
Jin Doggが厭世観漂う言葉を放り投げるように歌い出せば、Young Yujiroがすかさず低い声の関西弁で距離を詰めてくる。当時まだ謎の多かった2人の後に、姿を潜めていたWILYWNKAも登場。大阪シーンが変わることを誰もが予感した1曲。
「AM 2:00」(17年)
Jin Dogg
Jin Doggのメロウネスを知れる、初期作にして代表曲としても知られる楽曲。アグレッシブでラフな印象が先行していた青年の見せる疲れきった表情は、エモラップ・ブームのアイコン的存在であるXXXテンタシオンにも通じる魅力か。
「102号」(17年)
Young Yujiro
常に主役の脇を固め、若干地味な存在ですらあったYoung Yujiro。彼の一歩引いた立ち位置と個性、その唯一無二の武器であったことを証明したEPが『102号』だ。地に足のついた世界観に仕上がっており、静かな大人のトラップとして隠れた名盤。
「#TORNADO」(17年)
Cz TIGER
Cz TIGERとJAGGLA、Bicというキャラクターの立ったマイクリレーはNYで活躍しサウス勢にも刺激を与えたディップセットを彷彿させる。スタイルもNYのラップにCzがサウスの要素を足すようで、幅広い年代のヘッズに受け入れられるはずだ。
「ありがとう」(18年)
孫GONG
父の背中を見上げる子どものような視点で展開される「ありがとう」。おぼろげに思い出す父の優しさの記憶は、転落した人生を彼自身が持ち直すまでの布石のよう。終盤の覚悟を決めたバースを聴けば、誰も彼を単なるコミカルな存在とは思うまい。