「桜を見る会」で再注目される!――指針はあるけど基準は曖昧! 暴力団に限らない反社の定義

――安倍晋三首相主催の「桜を見る会」に反社会的勢力が参加していたことをめぐり、政府は「反社の定義は困難」と答弁書を閣議決定した。確かに反社の定義というのは曖昧で、時代によって変わっていくものだろう。それでは、今の時代はいったい何をもって「反社」と定義されるのだろうか?

(絵/藤本康生)

 誰もがコンプライアンスに縛られるこの時代に、あろうことか政府がやらかした。昨年末から盛り上がりをみせている「桜を見る会」問題である。もともとは「安倍首相による公的行事の私物化」を追及していたこの問題だが、参加者の中に「反社会的勢力」いわゆる「反社」とみられる人物が紛れ込み、菅義偉官房長官とツーショット写真を撮影していたことから事態は紛糾している。

 半年前に吉本興業の闇営業問題が取り沙汰されたこともあり、「反社」というキーワードに世間の反応は敏感であった。なにしろ、闇営業問題では、売れっ子であった雨上がり決死隊の宮迫博之と、ロンドンブーツ1号2号の田村亮が引退寸前にまで追い込まれているのである。

 政府はいったいどう説明するのか――。すると、当事者である菅官房長官は昨年12月10日に行われた記者会見でこう釈明した。

「(反社は)その時々の社会情勢に応じて変化しうるものであり、限定的かつ統一的に定義することは困難」

 この答弁はそのまま閣議決定され、政府が公式に「反社は定義できない」と、うまく煙にまいた感じだ。

 とはいえ、菅官房長官の言うように、「反社」の定義は困難である。政府としては、第一次安倍政権だった2007年6月に「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」を公開し、後述するように一応の定義を示してはいるが、裏社会では10年頃から「半グレ」と呼ばれる存在も台頭している。暴力団と違って彼らの活動は地下化し、社会に溶け込んでいるため、反社の定義を一層複雑にしている。

 それでは、「その時々の社会情勢に応じて変化する」という反社会的勢力は、2020年現在、どのようなものとなっているのか? 本稿では、実情に詳しい識者の声を聞きながら「反社の定義」について改めて考えていきたい。

13年前に政府が公開した曖昧すぎる反社の定義

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