倉田真由美ら“スペシャリスト”が推す!――不倫の現場はマンガよりも過激? 不貞行為の真実がわかる作品群

――芸能人の不倫がひところワイドショーを賑わせたように、日本人は、不貞行為とは知りつつも、不倫の話にいつも興味津々だ。そこで、近年増えつつある不倫中の男女の心理が克明に描かれたコミックは、不倫の真実がわかる格好の教科書かもしれない“不倫”のスペシャリストらに解説してもらった――。

『1122』(渡辺ペコ/講談社)5巻より。

 日本の婚姻関係にある男女のセックスレスの割合は47・2%。『1122』【1】と書いて「いい夫婦」と読ませる、今もっとも話題の不倫マンガでは、冒頭にそんな統計データが紹介される。

 本作の主人公・ウェブデザイナーの妻、いちこと、夫のおとやんは、セックスレスになったのを機に、「婚外恋愛許可制」をとることに。おとやんは生け花の教室で出会った人妻・美月と公認不倫を行う。セックスは外で済ます、という夫婦の関係も最初はうまくいっていたが……。

「ママ友と話していても『実は夫が浮気をしているのを知っているけど、知っていることを夫には内緒にしている』とか、『セックスは外でしてきてよ』っていう奥さんって意外と多いですよね」と『だめんず・うぉ~か~』(扶桑社)でさまざまな男女のあり方を描いてきた倉田真由美氏は話すが、それがいつもうまくいくとは限らない。『1122』の冒頭では、妻いちこが、夫おとやんにこんなことを言うシーンがある。

「今つくってるの女の人向け結婚特集のサイトなんだけどさ。既婚者のアンケートかなり修羅。夫はどんな存在かって質問に『ペット以下』はマシで、二酸化炭素、ATM、ゆとりゲーム脳、マザコン、あと蛾とか。そんな呪詛とか不満とか侮蔑でイッパイの生活地獄っぽくない? 婚姻なんか自由意志に基づく契約なのに、なんでそんな婚姻関係続行するんだろー」

 そうやって、愛情のない世間の夫婦を揶揄するいちこにとって、夫おとやんの不倫を公認するというのは、結婚関係を円滑に継続するための、理性的な選択のつもりだった。しかし、理性で考えた通りにいかないのが人間の感情というもの。結局、おとやんは美月に不倫関係を終わらせようと告げるのだが、それを聞いた美月は逆上し、おとやんの股間に剣山を突き刺してしまうのだ。その激痛と恐怖がトラウマになったおとやんは、いざいちこと性的にもやり直そうとしても、勃起しない身体になってしまう。一方、満たされない気持を抱えたいちこは女性向けの風俗を利用し、そこで知り合った大学生と親しくなる。お互いによそでセックスすることで2人はイーブンになったはずなのだが、それを知ったおとやんは平静な気持ちではいられない。

 この『1122』をはじめ、最近のヒットマンガに多いのが、不倫をテーマにした作品。人肌寂しいこの季節は、ドロドロした不倫マンガを読みふけるのにピッタリなのかもしれないが、そんな不倫に詳しい女性識者の亀山早苗氏・倉田真由美氏・鈴木涼美氏3人のナビゲートにより、今読むべき不倫マンガ11作を見ていきたい。

「夫とのセックスレスがきっかけで不倫を始める妻というのは実際に多いです。男の人って、食事をするように自然にセックスできてしまう人と興奮状態にならないとセックスできない人の2種類いて、後者の場合は奥さんが興奮の対象でなくなるともうできなくなってしまうんです」(倉田氏)

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