――医療マンガが取り扱う領域が、さまざまな職種に波及している。今後、どのようなテーマを取り扱うことになるか、大胆に予想してみた。
『日英対訳 アメリカ医療ハンドブック』(IBCパブリッシング)
将来的に医療マンガはどんな題材を扱うことになるのだろうか。上氏が例として挙げるのが、「医療教育の水平分業・国際分業」だ。
「現在、日本から多くの医学生が東欧に留学しています。ハンガリーだけでも、約500名ほど。ほかにオーストリアなども、第一次世界大戦から冷戦時代にかけて力を失ったものの、さまざまな産業で復興が進んでいて、医療教育もそのひとつです」(上氏)
また中国にも、アフリカなどから多数の医学生たちが留学している。要は、医療人材をひとつの国の中で育てる時代は終わり、国境をまたいで教育する時代が来ているということだ。人材が国境を超えれば、一国内における制度の矛盾や課題もさらに浮き彫りになる。例えば、海外帰りのエリートたちが、これに立ち向かうなどのストーリーは非常に面白そうだ。