ターニングポイントは『ドラゴンボール』!?――『鬼滅の刃』の残酷展開から考えるマンガの“身体欠損・修復”論

――人気のマンガ『鬼滅の刃』が最終局面に入ってから、バトル中の「身体欠損」が続いている。同作に限らず、バトルマンガにおいて「欠損と回復」というのは外せず、これまであらゆる作品でさまざまな「修復方法」が描かれてきた。こうした描写はどのような変遷をたどってきたのだろうか?

万次は銃で打たれても、負傷箇所を血仙蟲が修復してくれる。(『無限の住人』沙村広明/講談社/1巻より)

「週刊少年ジャンプ」で連載中のマンガ『鬼滅の刃』【1】の最新刊が12月4日に発売されたが、その初版部数は100万部。同誌で連載中のマンガとしては、2013年の『黒子のバスケ』と『暗殺教室』(いずれも集英社)以来6年ぶりの快挙だ。

 それほどまでに注目されている同作は現在、ラスボスを相手に主人公とその仲間たちが死闘を繰り広げている。その戦況は最終局面ということもあって熾烈さを極めており、敵味方関係なく主要キャラクターが次々と戦死していくのだが、その死に様も片腕が斬られたり、四肢を斬られて胴体だけになったり、果ては主人公までも片目を斬られたりと、規制に翻弄される近年の「ジャンプ」のマンガとは思えないほどの「身体の欠損」が描かれている。

 このように、話を盛り上げるため登場人物が身体欠損レベルの重傷を負うという描写は、バトルマンガにおいて頻繁に見られるが、重要なのはそこから先の展開である。ダメージを引っ張りすぎれば、後遺症によって物語の進行に支障が出るが、一方で重傷のわりにあっさり回復してしまうと読者は興ざめしてしまう。設定をうまく生かしきれないと、作品そのものにダメージを与えてしまうことになる。

 そのため、登場人物へのダメージとその修復・回復に関しては、これまでさまざまな手法が発明され、用いられてきた。本稿では『鬼滅の刃』の欠損描写が話題の今だからこそ、「バトルマンガにおける身体の欠損と修復方法」について、改めて考察していきたい。

「傷つく身体」の前提で「傷つかない身体」の実現

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2024.11.22 UP DATE

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