――すでに700本以上というNetflixのオリジナルコンテンツ。その多くはNetflixに加入しないと観ることができないので、他のサービスとの差別化に大きな役割を果たしている。特に目立つのがSF、なかでも破滅した未来を舞台としたディストピアものが非常に多いのは、いかなる方針によるものなのか……?
豚とカバを組み合わせたスーパーピッグが登場する『オクジャ』。
世界中のSNSから理想の相手を見つけ出し、出会い方まで教えてくれるマッチングアプリ「オスモシス」。脳内に埋め込まれたナノロボットが思考や感情を読み取り、相手と結ばれるために取るべき行動まで教えてくれる……。
これはNetflixで配信中のSFドラマ『オスモシス』【1】の設定であるが、この「理想の伴侶を見つけてくれるアプリ」さながら、Netflixも、これまでにユーザーが見た動画の傾向から次に見るべきおすすめ動画を教えてくれる。視聴者にストレスをかけないように、再生が終わる頃になると次のおすすめ作品のストリーミングの準備をしてくれる親切さだが……。映画ライターの神武団四郎氏はこんな疑問も口にする。
「Netflixって多く視聴されているコンテンツのランキングや評価している人の数を出さず、おすすめ作品って本当にその人が見たい作品なのか、もしくは単にNetflixが見てほしい作品なのかよくわからないところがありますよね……」
『NETFLIX コンテンツ帝国の野望』(ジーナ・キーティング著/牧野洋訳/新潮社)によると、2018年までの経営計画ではコンテンツに130億ドル投資し、そのうち85%をオリジナルコンテンツに回すことになっていたという。同書によれば、Netflixはある映画を見る人はどのような俳優を好むのか、どのようなシーンを何度も再生したり、早送りしているか、などの膨大なデータをもとにコンテンツを制作しているという。『オスモシス』では、オスモシスの被験者たちがやがてAIに恋愛を導かれることに抵抗感を抱きだすが、ディスプレイのこちら側で延々とNetflixを視聴する我々もAIに操られているわけではないと言い切ることができるだろうか?
などと冒頭から妄想的な話になってしまったが、今回の特集を飾るNetflixをはじめとする配信ドラマでは多くのオリジナルSFドラマやSF映画が制作され、高い評価を受けているものも多い。