出版業界が無視してきた企画たち! クラウドファンディングの“ヤバい”本

――最近の出版業界のはやりといえば、なんといってもクラウドファンディング。今年5月には幻冬舎も共同出資する「EXODUS」が本格的に始動するなど、出版関係各社が乗り出す中、実際にはどんな出版プロジェクトが動いているのだろうか? 「ヤバい本」というテーマを掲げて、探ってみた。

17年末の発表から1年以上たち、今年5月に始まった「EXODUS」。ここまで遅れた理由については「両社ともモチベーションは高かったけど、舵取り役が忙しすぎて手が回らなかった」(CAMPFIRE関係者)なんて話も……。

 長らく不況が叫ばれる出版業界にあって、近年にわかにクラウドファンディングを活用した出版プロジェクトに注目が集まっている。今さらながら簡単に説明をすると、「クラウドファンディング」とはプロジェクトを立ち上げて目標金額を設定した後、インターネットを通じて不特定多数からの出資を募り、出資者には出資額に応じたリターンを返すという資金調達の手法である。2000年代末頃から海外で始まったクラウドファンディングは現在、「Kickstarter」や「CAMPFIRE」をはじめ、国内外を問わず数多くのプラットフォーマーが誕生し、盛況を博している。

 クラウドファンディングの対象となるジャンルは、映画やガジェットの製作資金や社会運動の活動資金など多岐にわたる。成功事例としては16年のヒット映画『この世界の片隅に』の製作費用がクラウドファンディングで集められたことなどが挙げられるだろう。出版ジャンルにおいてはいまだ目ぼしいヒット作は出ておらず、17年に女優・真木よう子がフォトマガジン出版プロジェクトをCAMPFIREで立ち上げた結果、炎上が起こり中止となった騒動を記憶している読者も多いかもしれない。しかし、ネガティブな話題だけでなく、大手新聞や雑誌で紹介され話題となった写真集『築地魚河岸ブルース』【1】が、クラウドファンディングサービス「MOTION GALLERY」を活用して写真展開催および大型大判写真集制作プロジェクトを立ち上げ、早々に資金調達を達成するといった成功例も登場している。

 また、13年にはCCCグループ運営のクラウドファンディングサイト「GREENFUNDING」が、大日本印刷と共に出版特化サイト「ミライブックスファンド」(現・ミライメイカーズ)を展開。今年5月にはCAMPFIREと幻冬舎の共同出資による出版プロジェクト「EXODUS」が始動するなど、出版業界各社が熱い期待と共に乗り出しているのが現状だ。 

 これまで出版社が中心となる形で本の企画立案、制作が行われ、取次会社を通じて書店へと展開されてきた出版ビジネスだが、クラウドファンディングが普及することによって、個人発信の出版プロジェクトは星の数ほど生まれ出るようになった。

 こうした中で、“クラウドファンディングだからこそ出版できたヤバい本”を探ると共に、クラウドファンディングが出版に与える影響について考えていきたい。

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