――ヤフーニュースに対しては、批判や脅威がまったくないわけではない。指摘される問題点や競合サービスの現状を簡単に見てみよう。
『HATE! 真実の敵は憎悪である。』(左右社)
【1】ヘイトコメント
前記事「いまや日本の一大プラットフォームであり、権力装置……年間1500億PVで世論を支配!? メディアを掌握するヤフーニュースという権力」でも簡単に触れたが、近年ヤフーニュースへの批判としてやり玉に挙がるのが「ヘイトコメントへの対応」だ。2017年4月に朝日新聞デジタルが「コメント欄にはびこる嫌韓・嫌中 ヤフー・ニュース分析」といった記事を掲載するなど、ヤフーニュース内で特に中国や韓国に対するヘイトコメントの多さはここ数年、広く問題視されている。
当然、こうした現状はヤフー側も認識をしており、24時間365日体制で投稿内容をパトロールする専門部隊を設けているほか、同年に「コメント健全化への挑戦」といった取り組みを実施。18年6月には、不適切なコメントを複数投稿しているアカウントに対して投稿停止処置を行うことがあると発表するなど、ヘイトコメントへの対応に善処している旨を強く打ち出している。
一方で、第二東京弁護士会が18年8月にヤフーへのヒアリングを行った結果、コメント欄の閉鎖については否定的であり、コメントの削除方針の公表についても消極的な姿勢だったとも報じられた。
ヤフーがコメント欄を放置する理由について、ジャーナリストでメディア・アクティビストの津田大介氏などはコメント欄のアクセス数がニュース全体の1割強となっているため、広告収入の減額を恐れている可能性があるとも指摘している。
ヤフーニュースが掲げる「建設的な議論ができる場をつくる」ことは可能なのか? 健全なプラットフォーマーとしての資質が問われ続けている状況だ。