傾いた日本のテレビ局、立て直す戦略は?
凋落しているという日本のテレビ業界。それでも社員の給料は良いし、良質なコンテンツで話題に事欠くことはない。ネットニュースのPVだって、結局はテレビドラマのレビュー記事なるものが稼いでいる状態だ。一方で時代の変化に合わせようと国全体でIT化の波を推進し、ネット常時配信に関する法改正も進んでいるが……。
なんとも刺激的なタイトルの『さよならテレビ』(東海テレビ)。
日本のテレビ業界は長く視聴率も収益も右肩下がり状態。そこにきて、NetflixやAmazonプライム、DAZNなどの“黒船”が襲来し、日本でもHuluやAbemaTV、FOD、パラビなど、動画配信サービス(VOD)がこぞって誕生している。2018年はこれらのサービスが、民法が提供するテレビ放送に慣れ親しみ、テレビは無料で見られるものと思っている日本人にも、広く浸透した年であった。
一方で、こうしたVOD勢の動きに対して昨年末あたりから、「アマゾンやNetflixなどのIT系企業が日本の放送ビジネスに侵食している」という見方が浮き彫りになった。19年はより一層、この勢いに拍車がかかりそうだ。
そしてこうしたVODの増加に呼応したのが、放送業界ではなくテレビを作る側の家電メーカーだったことにも注目が集まっている。例えばソニー「ブラビア」やパナソニック「ビエラ」などのテレビのリモコンには現在、Netflix専用のチャンネルが組み込まれた仕様のものが多い。ここには、Netflix側のプロモーション戦略があったのだ。
「もともとVODサービスはスマホやPCで視聴するものと思われていましたが、Netflixではテレビ視聴者のニーズも想定して、家電業界にも積極的にプロモーションをしてきた。同社は、世界でもいまだブランド価値が高い日本の家電メーカーに対して、Netflixのチャンネルを組み込む代わりにリモコン制作費の一部を負担すると働きかけたんです」(大手テレビ局社員)