内調の活動を暴いた小説【官邸ポリス】と警察庁内紛の点と線

告発小説が描く華麗なる官邸の裏

18年暮れに出版された小説『官邸ポリス』が永田町や霞が関で話題になっている。2011年3月1日、東日本大震災から始まる同書は、「日本国民を安心させる」という大義名分のもと、時の官房長官・戸田裕紀が偽情報を垂れ流し続けた……という。実在した官邸醜聞が、「官邸ポリス」の視点から暴露されていくが……。

『官邸ポリス』(講談社)の表紙。

“日本のCIA”とも称される、首相官邸直轄の情報機関「内閣情報調査室」(以下、内調)。この組織が、昨年末からある出版物をめぐって、揺れに揺れている。内調トップの北村滋情報官やその上司格にあたる杉田和博官房副長官、そしてその側近たちとおぼしき人物たちが続々と登場し、実際に官邸を襲ったスキャンダルをなぞりながら、内調の隠された活動を暴露する体裁になっているのだ。

 件の出版物とは、昨年12月に全国の書店に並んだ告発小説『官邸ポリス』【1】(幕蓮著/講談社)。同書を手にした内調の調査官たちが、思わずのけぞったといわれる内容が列挙されているという。

 就職相談をした女性を酒に酔わせ、ホテルで性行為に及んだ元TBSワシントン支局長・山口敬之氏の“強姦事件”もみ消しに官邸が関わった一件をはじめ、安倍昭恵夫人や文科省の前川喜平元事務次官に持ち上がったスキャンダル、あるいは北村情報官と拉致問題担当の北朝鮮高官がベトナムで極秘会談をしたものの成果を上げることができなかった外交話まで、12章にわたって官邸スキャンダルが詰め込まれているのだ。

 同書が出版されるや否や、官邸ではさっそく犯人捜しが始まったようだ。官邸取材に明け暮れる大手紙政治部記者の話。

「著者の『幕蓮』はどうみてもペンネーム。経歴を見ると『東大法学部卒業。警察庁入庁。その後、退職』と書かれているが、これも怪しい。内調の事情に詳しいところをみると、内調に出向歴のある警察キャリアではないかと臆測を呼びました」

 確かに小説に記された著者経歴を、額面通りに受け取ることはできないだろう。だが、最終章の中に、犯人を特定するキーワードが潜んでいたという。そこには、ストーリーの流れをいきなり止めるようなタイミングで、警察庁幹部の“隠し子騒動”が展開されていたのだ。前出の政治部記者が続ける。

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