――たびたび危険視される「ストロングゼロ」をはじめとするストロング系チューハイ。度数の高い酒はほかにもあるはずだが、なぜこれだけ狙い撃ちにされるのか? また、どうしてそんな危険な酒が台頭したのだろうか? もはやタブーな酒、ストロング系チューハイについて真面目に考えてみた。
各メーカーから出されているストロング系チューハイ。
日本人の酒離れに歯止めが利かないといわれる中、「ストロングゼロ」(サントリー)などのストロング系チューハイ(以下、ストロング系)はむしろ人気を伸ばしている。
ストロング系は8~12%の高いアルコール度数で手っ取り早く酔えることや、500mlでも1缶200円以下という手頃な価格設定、さらに主要メーカーがこぞって新製品を開発していることもあって人気があり、ネット上では親しみ(?)を込めて「飲む福祉」や「合法ドラッグ」などとも呼ばれている。
だが一方で、飲み口のよさのわりにアルコール度数が高いため、その危険性を指摘される出来事も常に起こっている。最近だと元モーニング娘。吉澤ひとみの飲酒ひき逃げ事件や、とろサーモン・久保田かずのぶとスーパーマラドーナ・武智による『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)後の暴言事件などの舞台裏に、これらストロング系が関わっていた。
危険性を指摘されながらも支持される様子は、確かにドラッグと呼べなくもない。しかし、広く大衆に浸透している現状を、そんな認識で片付けてしまってよいものだろうか? 本稿は、こうしたストロング系について筆を進めるが、ただ批判するのではなく、本質的に理解し、受け入れられている背景などの現状を正しく認識した上で楽しく飲酒するための考察をしてみたい。