『グリーンブック』マフィアの生き証人と天才黒人ピアニストの珍道中と友情物語

『グリーンブック』

1960年代、黒人ピアニストのドンは、いまだ根強い人種差別が残るアメリカ南部へ演奏ツアーに行くことに。だが、黒人へのいわれなき暴力がはびこる南部、ドンが用心棒にしたのは……。監督:ピーター・ファレリー、出演:ビゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリほか。19年3月1日全国公開。

 映画『グリーンブック』は、マフィアの生き証人として知られるトニー・リップと、天才ピアニスト、ドン・シャーリーの知られざる友情を描いた、実録ロード・ムービーである。

 トニーは、『ゴッドファーザー』(72年)や『グッドフェローズ』(90年)などにマフィアの老幹部役などで出演している元用心棒。ニューヨークのブロンクスでイタリア移民の家に生まれた彼は、マフィアと暴力に囲まれて育ち、兵役を終えると高級クラブ「コパカバーナ」のフロアマネージャーになった。コパカバーナはフランク・シナトラなどセレブの集まる店として知られたが、喧嘩っ早いマフィアの客も多かった。

 一方のドン・シャーリーは南部フロリダの黒人家庭に生まれたが、2歳でピアノを弾く天才で、9歳からソ連のレニングラード(現サンクトペテルブルク)で英才教育を受け、博士号を持ち、カーネギー・ホールの上に住むエリート中のエリート。彼の作品はクラシックとジャズ、アフリカ音楽などをミックスした、「ドン・シャーリー・ミュージック」という唯一無比の芸術として音楽史に輝いている。

 時代は1962年。ドンはアメリカ南部に演奏ツアーに行く。しかし、南部ではまだ黒人に対する人種差別が合法だった。だからトニーがその度胸を買われて、ドンの運転手兼ボディガードとして雇われる。

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