――洋邦問わず、話題の映画やドラマには必ず“ワンセット”のイメージのあるサウンドトラック。しかし、中にはサントラが存在しなかったり、収録されていても本編で使用されていなかったり、挙げ句の果てには映画やドラマよりもサントラのほうが話題になったりする逆転現象まで。そんな気になるサントラ事情を、洋邦まとめて探ってみた。
新垣結衣と星野源主演の大ヒットドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(16年/TBS系)のサントラには、星野源「恋」は未収録で、劇中で使用されるインストのみで構成。民放ドラマのサントラは、この形態が非常に多い。
サウンドトラック――。その言葉が本来意味するのは、「フィルムの中にある独立した音声用トラック」を指す。フィルムのデジタル化によって解釈にも変化は起きているが、主題歌をはじめ、挿入歌やBGMなど、音声を用いない作品は皆無といっても過言ではないので、ほぼすべての映画/ドラマにサウンドトラックが存在する。しかし、今回のお題は商品として市販されている“サウンドトラック・アルバム”について。
読者諸氏の印象としては、「サントラは映画公開や、ドラマの放送に合わせてセットで発売される商品」と思うのではないだろうか?大手レコード会社に勤務し、これまでに洋邦問わず多くのサントラのリリースを担当してきたA氏いわく、「予算を投じたハリウッド映画で30%以上、ミニシアターやアート系作品であれば10%前後、ドラマも同様に10%程度のサントラがリリースされていると推測」できるとのことだ。意外と少なく感じる数字だが、話題作であればサントラは一心同体――かと思いきや、そうでもない。映画業界に詳しいライターB氏が続ける。
「映画公開時はサントラは発売されておらず、公開後大ヒットを記録し、急遽サントラがリリースされたという作品は、実は相当数あります。最近では『カメラを止めるな!』が良い例です(18年6月に一般公開、9月にサントラの発売)。また、『ラ・ラ・ランド』(16年)のように複数のサントラを発売する映画や、『ウェディング・シンガー』(98年)のように公開後に映画/サントラ共に高い評判を獲得し、(第1弾には収録できなかった)第2弾サントラを発売することもあります」