極悪非道な忍者にはカンフーで立ち向かう!――サバンナや森で襲いかかる!? 奇想天外・アフリカの忍者映画

――忍者や侍といった日本の文化は海外でも人気で、かつてハリウッドや香港では日本人だけではなく、現地の俳優たちが現代を舞台に戦う忍者映画が盛んに制作されていた。そのブームは2000年代を迎える前には落ち着いたが、実は今、アフリカで忍者映画が作られている!?

ガーナの“クマウッド”で制作された『Best Ninja1 & 2』の予告編。

 年収1000万円にもかかわらず、忍者不足」――今年7月、「忍者の里」として有名な三重県伊賀市が「忍者を募集している」という情報がインターネット上で拡散され、同市の観光協会などに「応募したい」「募集の詳細を教えてほしい」と、国内だけではなく世界中から問い合わせが殺到。困惑した市は「忍者の募集はしていません」と文書を出すほどの事態になった。

 改めて海外での忍者人気が不動であることを実感できた事象だが、これまで忍者という存在は、日本人が思う以上に海外で受容されてきた。

 例えば三重大学国際忍者研究センターの研究員、クバーソフ・フョードル氏の「海外での忍者の人気と研究の沿革」(2018年)によると、海外には「日本の忍者から忍術を学んだ」という人物が経営する怪しげな忍者道場が乱立していたらしく、「その現象が途轍もなく広がって、欧米の結構鄙びた町にでも忍術を教える道場が一般的に出来て、それが皮肉的に『マック道場』と呼ばれるようになったこともありました」という記述がある。中には「忍術を教えます」と入会金を集めた後に、雲隠れするような明らかな詐欺もあったとか。

 また、1970年代の香港では、日本映画の武術やアクションを国内のカンフー映画に取り込む中で、忍者が登場。さらに、ハリウッドでもショー・コスギが出演した『燃えよNINJA』(81年)がヒットしたことを皮切りにこの2カ国で忍者ブームが巻き起こった。

 90年代頃になるとブームは落ち着いていくが、その後は世界各国で忍者映画が作られるようになり、さまざまな人種の忍者が誕生していく(91ページコラム参照)。

 そして、今では世界の映画業界が注目するアフリカでも忍者映画が制作されている。この地で作られる映画は、これまで各国でなされてきたローカライズに加え、アフリカ独自の文化も組み込まれているため、もはや日本人の抱く忍者とはかなり異なるものだという。本稿では、こうした「アフリカの忍者映画」に迫りたい。

コーランの護符で撃退――登場する忍者は悪役!?

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2024.11.21 UP DATE

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