アマゾンもフェイスブックも規制強化へ――グーグルが政府と市民を監視!? リバタリアン生んだネットの終焉

――テクノロジーの力によって政府や大企業などの支配を逃れ、人々が自由に行動できる……かつて、そんな理想的な場所としてインターネットが考えられていた。しかし現在、大企業による情報の独占や、政府による監視、法整備による制限など、ネットの自由をめぐっては、さまざまな問題が議論されている。この自由のサービスは、どこへ向かうのか?

多くのリバタリアンに影響を与えたWhole Earth Catalog。今はネットで公開されている。

 2017年末、1BTC=200万円を超えてバブルの様相を呈したビットコイン狂騒曲。1年間で2000%以上も価格が上昇するその相場に人々は熱狂し、次々と“億り人”と呼ばれる成功者も誕生。現在、ブロックチェーンという新しい技術によって生み出された通貨が、社会を激しく揺さぶっている状況だ。

 ビットコイン草創期であった09年~10年頃、この未知の通貨に対して重要な役割を演じていたのが、「サイファーパンク」と呼ばれるコミュニティに所属する急進的リバタリアンたちだった。彼らは、コミュニティ内で仮想通貨の情報を交換し、「脱政府」「脱権力」への礎となるその可能性に惚れ込んでいった。ビットコインのウェブサイトにおけるQ&Aにはかつて、ビットコインを使うべき理由として「独裁的な中央銀行の不公正な通貨政策をはじめ、通貨供給を中央集権的権力に握られることから生じるさまざまなリスクから身を守ろう」という文言が踊り、政府に対するカウンターとしての位置付けが明確化されていたのだ。

 その一方で、リバタリアンの思想はアナーキズムや違法行為と紙一重。違法ドラッグをはじめとするあらゆるアイテムを取り扱っていたダークウェブ上のショッピングサイト「シルクロード」(13年閉鎖)の創始者であり、資金洗浄、コンピュータハッキング、麻薬の不正取引や殺人の周旋といった罪で仮釈放なしの終身刑が宣告されたロス・ウルブリヒトも、ビジネス特化型SNS・Linkd Inで「組織的勢力が存在しない世界に生きる」ことを明言し、それが持ち得るリバタリアンな思想を是としていた。

 はたして、インターネットにおけるリバタリアンの功罪とはなんだったのか? 国家はどのようにして彼らのネット活動に網の目をかけてきたのか? そして、今、ネットにある自由とは……? 本稿では、今やインフラとなったインターネットの世界に地下水脈のように流れてきた「リバタリアン」たちの動きから、「インターネットと自由」について考えていきたい。

インターネットからダークウェブへ

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2024.11.22 UP DATE

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