――今や芸能人やモデルがインスタに写真をアップしようものなら、「フォトショ乙」や「レタッチ乙」などネット民から揶揄される時代。それほどまでに一般化した“画像修正”という技術。では、レタッチのプロ=レタッチャーたちは、どのような技術とスタンスで作業を行っているのだろうか。無修正の奥深きレタッチの世界を覗く。
こうしたビフォーアフター画像や動画を見たことのある読者も多いだろうが、このレタッチを「誰がやったのか?」は、あまり知られていない。(YouTube「Speed Retouch」より引用)
ブログやインスタグラムなどを通して、芸能人から一般人まで、誰もがスマホやデジカメで撮影した写真を気軽に投稿する昨今。その画像を見映え良く修正/加工する“レタッチ”という技術は、もはや一般化している。そして、我々が日常的に目にしている雑誌や広告、商品パッケージなどで使用されているほぼすべての画像にもまた、巧みな処理が施されている。こうした仕事を生業にしているのが、いわゆる“レタッチャー”だが、彼らが表舞台に出ることは少ない。そこで今回、第一線で働くプロの3名に最新のレタッチ事情を聞いた。
まずは、自身の事務所を構え、広告業界をメインに幅広い分野で活躍するA氏が、レタッチの変遷を次のように語る。
「その言葉の台頭は、15年前くらいまでさかのぼります。それより前は、画像を修正するスタッフは、アドビシステムズが販売している画像編集ソフト〈Photoshop〉を使用することから“フォトショッパー”と呼ばれていましたね」
AVメーカーが主なクライアントで、アダルト商品のパッケージなどを手がけるフリーランスのレタッチャー・元日田先氏が続ける。
「レタッチという言葉はメジャーになりましたが、レタッチャーという職種は、あまり浸透してないように感じますね。
ちなみにAVパッケージの主な作業は、肌の色の調整や補正、合成、また胸を大きくしたり手足を長くするといった、人間そのものを加工することに重きを置いています」
一方、ミュージシャンやタレントの宣材写真からCDやDVDパッケージ、グルメサイトの料理写真など、さまざまなジャンルを手がけるレタッチャーB氏は、“技術”について次のように話す。