【クロサカタツヤ×三戸政和】『300万円で会社を買え』の著書が語るニッポンのサラリーマンのポテンシャル

通信・放送、そしてIT業界で活躍する気鋭のコンサルタントが失われたマス・マーケットを探索し、新しいビジネスプランをご提案!

●M&A実施企業と非実施企業の労働生産性
出典:2018年版『中小企業白書・小規模企業白書』より

――なにかと話題の不動産投資は「サラリーマン大家」ブームが早々に過ぎ去って、次にやって来たのは何かと思えば「300万円で会社を買え」という事業投資。経済ニュースをにぎわすような巨額の買収劇じゃなくても、しっかり経営してやればちゃんと利益が出る中小企業が日本にはまだまだたくさんあるというお話。なにしろ中小企業は380万社もあるというのだから、実は隠れたお宝の山かも!?

クロサカ 今月は、4月に発売された『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』(講談社)がベストセラーになった、三戸政和さんをお招きしました。同書は、サラリーマンに「中小企業の買収と経営」という事業投資を勧める内容です。

三戸 おかげさまで品川の駅ナカの書店で発売から3カ月ほど、ずっとランキング1位でした。新幹線で出張するような人が、移動中で読み終わるニーズにはまっているんでしょうね。

クロサカ 出張に行くような会社員の多くは、ある程度のポジションで可処分所得も高い。だからこそ将来への不安を抱えながらも、起業には踏み切れず副業にも違和感がある……。

三戸 私は加古川出身なんですが、今は地方に波及しているようです。新幹線や空港の書店では、たいていランキングに入ってます。

クロサカ 不動産投資にしろ事業投資にしろ万人には勧められないもの。でも、大企業のサラリーマンなら経営スキルを持っている可能性が高い。そういう方に、会社を買うことを勧める発想は、どこから出てきたんでしょうか?

三戸 そもそものきっかけというか、原体験みたいなものがあるんです。10年ほど前にシンガポールに駐在していて、現地でソニーの人たちと仲良くなったんですね。その頃のソニーは、モバイル事業をエリクソンとの合弁にしたり、テレビ事業に影が差しつつあったりと、ちょっと調子を崩しつつあった時期です。その方は私より10歳ほど年上で、ソニーが就職先として大人気だったバブル崩壊前の入社とあって、人材教育にすごいコストをかけてもらっていた。だから、「会社の調子が悪くなったなら、外に出て活躍すればいいのに」と思っていたんです。

クロサカ あー、わかります。最初の就職氷河期世代だった僕たちには考えられないほど、会社から投資してもらっていた人たちですね。僕たちにはできなかった経験をしてきて、まだ仕事もバリバリできて引退するには早いんだから、会社の外にもっと出て行っていいはず。

三戸 そうです。なんか、もったいないなと。

クロサカ かといって、いざやるのが喫茶店やラーメン店なのも違いますよね。飲食業ってそもそも難しいし、培った専門知識や職業的スキルを考えれば、もっと違う道があるはず。

三戸 そうそう。私が彼らの世代に感じるのは、人間力みたいなものなんです。言い換えるとマネジメントにあたって、余裕があるというか懐が深い。社内の会議であっても、雑談から入って空気を温めてから本題に入るような気遣いができる。私自身は金融業界にいたからというのもあって、会議でも結論から入りたがるし、仕事での対人関係もサバサバしてるんです。でも、中小企業のマネジメントには、ロジックよりも人間力が大事なんです。私が政治家をやっていたときに学んだんですが、やっぱりロジックだけで人を動かそうとするとしんどい。

クロサカ 中小企業で働いている人たちって、給料の高い・安いで働き続けているわけではなくて、人のつながりとか地域や商品への愛着といった、ロジックではない動機なんですよね。

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