――映画に導かれた17歳の若手女優が、自らの意志で挑戦を始めた理由とは?
(写真/宮下祐介)
あどけなさを残しつつ、世の中を悟ったような陰のある瞳を携える17歳。湯川ひなは女子高生特有の危うさを、純度高く演じることのできる女優だ。
2016年に主演を務めた『そうして私たちはプールに金魚を、』は世界の映画市場が注目する第33回サンダンス映画祭短編部門にて日本作品で初めてのグランプリを受賞。30分という興行に不向きな長さでありながら、渋谷ユーロスペースで連日満席を記録した。
「観た人から『キレイに見えるときと、まったくキレイに見えない瞬間が両方あるね』と、言われたことがうれしかったです。顔がかわいすぎる人がリアルな中学生を演じても、観客は共感できないと思うので」
若くして代表作に恵まれた彼女だが、自ら望んでこの世界に入ったわけではない。小学生のときに、芸能事務所からスカウトされたのがきっかけだった。
「当時はバスケットボールに打ち込む、ただの小学生だったので、演技の仕事にまったく興味が持てませんでした。バスケを理由に中学校を選んだくらい、私にとってすべてだったんです。でも、色々なことが重なってやめることになっちゃって……」
そんな彼女の現実を忘れさせたのが、世界中のサブカルファンを熱狂させた、ミュージカル映画『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』だった。