テクノロジーの発達で国家制度が形骸化する?――同性愛を排除する結婚制度にNO! ブロックチェーンで刻む永遠の愛

――ますます結婚や出産率が低下する日本。突き詰めれば既存の制度に対する不信感の表れでもあるようだ。そうした中で、新しいテクノロジーを使って独自の契約を果たす人々も現れ始めている。テクノロジーの発展は、結婚制度を崩壊させるのか――?

●婚姻件数及び婚姻率の年次推移
資料:厚生労働省「人口動態統計」

 ビットコインなど仮想通貨の基幹技術であるブロックチェーン(以下、BC)を、結婚という領域に応用しようという動きが世界各国で活発になりつつある。14年10月、David MondrusさんとJoyce Bayotookさんは、世界で初めて「BC婚」を果たしたカップルとなった。舞台は、米フロリダ州オーランドのディズニーワールドで行われたBCイベント。ビットコインBC上に婚姻情報を記録した2人は、次のようなメッセージをともに添えた。

「For better or worse,’til death do us part, because the blockchain is forever」〈健やかなる時も病める時も死が2人を分かとうとも(愛を誓う)ブロックチェーンは永遠だから〉

 BC――より正確には、膨大な数のノード(ネットワークに参加しているパソコン)を持つパブリックBCには、「改ざんがほぼ不可能」という特徴がある。しかも、地球壊滅レベルの戦争や災害でも起きない限り、半永久的に記録が残る。そこで、BCに婚姻関係を記録することで、永遠の愛を誓うことにしたというわけだ。もしも離婚した場合には、またここに上書き保存することになる。

 16年7月には、ビットコイン活動家・Oles Slobodenyukさん、Irina Dkhnovskayaさんカップルも、BCプラットフォームに“婚姻届け”を提出。結婚証明書を発行している。日本ではエンジニアの河崎純真さん、美加恵さんカップルが、BC上に婚姻関係を書き込み、知る人ぞ知るニュースとなった。

 なぜ、BC婚を選択するカップルがぽつぽつと現れるのだろうか? それは何か新しいデジタル・カルチャーの出現の予兆なのだろうか。

「BCに婚姻関係を書き込むという行為は、教会や神社で神に愛を誓う儀式に似ていますよね。ただ、愛を誓う対象が神ではなくてテクノロジー。そんな印象を受けます」

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2024.11.22 UP DATE

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