――21世紀型盆踊り・マツリの現在をあらゆる角度から紐解く!
日本の音楽界と音頭界を揺るがす、トンでもない楽曲がリリースされた。その名も「FUCK YOU音頭」。歌うのは90年代に結成され、一時の活動休止を経て、現在は精力的な活動を続けるロック・バンド、サニーデイ・サービス(以下、サニーデイ)だ。音作りは低音の効いた現行ヒップホップ的なものではあるものの、楽曲の構成はあくまでも「東京音頭」以降の新作音頭のスタイル。決して奇をてらったものではなく、ある意味で正統派の音頭である。だが、繰り返される「ファックユー」というフレーズは破壊力十分。楽しいのに不穏な空気もたっぷりな、まさにオリジナルの音頭となっている。
作詞作曲を手がけたメンバーの曽我部恵一氏は、この「FUCK YOU音頭」について「自分の遺作にしてもいいぐらいの出来」と胸を張る。
「ずっと好きで聴いてきたアフリカの音楽を形にしようと思っても、アフリカ文化と隣接しているものが自分にないので、やる理由・必然性がないんですね。でも、音頭という音楽には、それがある感じがして。大瀧詠一さんが70年代に作っていた音頭が大好きだったし、音頭はいつか挑戦してみたかったんです。最初は手探りでしたけど、制作を進めていくと、体内で培われていたものがあるんだなと感じました」
「FUCK YOU音頭」には原曲がある。サニーデイが今年3月に発表したアルバム『the CITY』に収録された「ラヴソング 2」がそれだ。サニーデイは『the CITY』収録曲のリミックスをスポティファイに定期的にアップしていく『the SEA』というプロジェクトを進めており、「FUCK YOU音頭」はその第一弾として世に発表された。曽我部氏は「制作を進めていく上で、いろいろな気づきがありました」と話す。
「最初に参考にしたのはやっぱり(大瀧詠一プロデュースによる)『ナイアガラ音頭』のシングル・バージョン。音頭の要素が入っていながら、ディスコの強いビートがある。『FUCK YOU音頭』でも今のトラップみたいにサブベースがしっかり出た作りで音頭のビートを組んでみようと考えていました」
「FUCK YOU音頭」は歌詞も鮮烈な印象を残す。「おサルの籠屋は池のなか/森の友だちよんでくりゃ」「ひらひら舞うのは銭の花/音頭でシンゾーもバクバクだあ」などという歌詞も出てくるが、この曲は単なる反安倍ソングではない。彼はこう説明する。