――ソロMCとして確固たる地位を築き、『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日系)のラスボスとして、瞬く間に広く知れ渡る存在となった般若。稀代の実直な男による熱き思いに耳を傾ける。
(写真/西田周平)
通算10枚目となるアルバム『話半分』を4月1日にリリースした般若。さらに、彼のひとつの夢でもあった初の武道館公演を、エイプリルフールである同日に発表するというのも般若らしい。しかし、彼いわく『話半分』の残り半分は、“嘘”ではなく“行動”であるという。
「まがりなりにもアルバムを10枚出してきているし、来年には武道館でのワンマンも控えている。だから、あとの半分は自分の行動でしかない」
立場上、どうしても日本のヒップホップシーンを代表する存在として語られることの多い般若であるが、『話半分』はそのヒップホップへのこだわりを捨てることで生まれたものでもあるようだ。
「もちろんヒップホップは好きだけど、俺がヒップホップかそうじゃないかっていうのは、受け手が判断することであって、正直俺はどうでもいい。今回は、自分が作りたい音楽を忠実に形にしたという感じです」
これまでで一番「般若」という人間性が出ていると話す今作は、現時点での彼の最高傑作であることは間違いないだろう。先行シングル「生きる」を筆頭に、アルバムではさまざまな形で“生”が描かれている。
「究極をいうと、死生観しか出していない。昔から、生きることと死ぬことばかり考えちゃうんですよ。遅かれ早かれ、人は人の死に必ず触れる。俺も40年近く生きてるんで、そういうのはたくさん経験してきてますから」
生と死、そしてもうひとつ大きなテーマが“愛”だ。自らの子どもに向けた「家訓」など、家族や仲間を想う大きな愛が溢れている。