――テレビ局の影響が強い日本と違い、世界では動画配信の影響力が強くなっている。ここでは、インド市場の例を見てみよう。
『インド・シフト 世界のトップ企業はなぜ、「バンガロール」に拠点を置くのか?』(PHP研究所)
動画系OTTの激戦区となっている国のひとつに、インドがある。アマゾンやNetflixをはじめ、Hotstar、SonyLIV、Hungama、Spuul、DittoTVなど多くのOTTが乱立している状況だ。
インドには、動画配信サービスに対する莫大な潜在需要が眠っていると言われている。というのも、人口世界2位で、英語が公用語として使用されており、IT人材も豊富。加えて、スマホの普及率や通信環境が、ハイペースで向上・改善しているという時代的状況がある。
通信インフラが整えば、次に必要とされるのはコンテンツ。そのため、各社が一斉に市場獲得に動きだした形だ。
アジア市場に積極的になっているアマゾンは、インドには13年に進出している。それから3年後の16年にはローカル企業・スナップディールを抜いて、インド内で活動するEC取引企業として2位の規模に成長した。
その後同社は、物販だけではなく動画配信サービス事業にも大きな力を注ぎ始める。16年7月には、インド国内でプライム会員のサービスを開始。同時にインド内の事業に50億ドルを投資している。
17年にはスタジオを開設。これまでインドで制作されたオリジナルコンテンツは20タイトル以上となり、この投資規模はアマゾンプライムビデオがサービス進出した国の中で最大となる。
アマゾンのジェフ・ベゾスCEOも「インドはどの国よりもアマゾンが急速に成長している国。顧客が関心を示してくれることに深く感謝している(中略)インドの消費者と中小企業のために努力し、技術・インフラ投資を惜しまない」と強調。市場獲得の意志を公言している。