[語句解説]「電気ショック療法」
頭部に電極を当て、通電することによって人為的にけいれん発作を引き起こすもの。統合失調症における興奮状態や、希死念慮が強い重度のうつ病に対して有効だが、そのメカニズムは未解明。現在では麻酔科医の管理のもと、筋弛緩薬を投与して行われる「無けいれん法」が主流となっているが、過去には、暴力的な患者に対する懲罰的な意味合いで用いられることもあった。
電気ショック療法は、一般の方にはあまりなじみはないかもしれません。あるいは、この療法は治療方法というよりも「懲罰」のイメージが強く、何か恐ろしいものというイメージを持っている人も多いことでしょう。そもそも「けいれん発作」というものは、てんかんをはじめとしてなんらかの疾患の症状であり、これを人為的に起こすことによって治療効果を得るという考え方には違和感を感じる。そのような人は、専門家の中にも少なくないようです。
実際、過去の時代においては(あるいは現在も)、電気ショックは拷問や刑罰の手段として用いられてきました。映画やテレビドラマの中では、電気ショックによる拷問シーンがたびたび登場します。
1987年に公開され大ヒットした『リーサル・ウェポン』(リチャード・ドナー監督)という映画があります。メル・ギブソン演じるマーティンは特殊部隊の経験もある優秀な刑事でしたが、妻を亡くし日々の生活に疲れて自殺も考えている状態。彼は麻薬課から殺人課に異動となり、そこで年上の黒人刑事ロジャーと出会います。
その後、相棒となった2人の刑事は巨大な敵に立ち向かっていくわけですが、その中に、麻薬組織によって彼らが拷問を受けるシーンが出てきます。そこで使用されたのが、電気ショックでした。これによりマーティンはほとんど失神するまで拷問を受けるのですが、間一髪反撃に転じ敵のボスを倒す――というストーリーになっています。
実際の犯罪事件においても、電気ショックが使用されたことがありました。2002年、福岡県において他に類を見ない犯罪事件が発覚します。かの有名な、北九州連続監禁殺人事件です。