【m-floインタビュー】最強トライポッド再始動――音楽業界の構造を変えた3人が赤裸々に語った真実と未来

――1999年、彗星のごとく現れたプロデューサーの☆Taku Takahashi、ラッパーのVERBAL、そしてボーカルのLISA。国内のポップミュージック・シーンでは、色物扱いされていたクラブミュージックをお茶の間にまで浸透させた功績は言わずもがな。しかし、突然のLISAの脱退、グループの活動休止――。このメンバーで15年ぶりに再始動するに至った背景には、どのような物語があったのか? 本誌にだけに語ってくれた脱退および活動休止の真実と、音楽業界、ひいてはエンタメ界への苦言を克明に記す。

(写真/片桐史郎・TROLLEY)

「私、やめたい」 m-flo活動休止の真相

 小学校からの同級生であったVERBALと☆Taku Takahashi(以下、☆Taku)によって結成され、さらにLISAを加えて、1999年にEP『the tripod e.p.』にてメジャーデビューを果たしたm-flo。共にバイリンガルであるVERBALのラップとLISAの歌、さらに最先端のダンスミュージックの要素をふんだんに盛り込んだ☆Takuのトラックが融合することによって生まれる独自のサウンドは、当時の日本の音楽シーンに新たな価値観を提示した。01年にリリースされたシングル「come again」によって彼らの人気は絶対的なものとなり、同年リリースのセカンドアルバム『EXPO EXPO』は累計セールス80万枚の大ヒットを記録。しかし、そんな絶頂期の02年に、LISAが突如グループを脱退する。

LISA「あの時の私たちはあまりにも忙しくて、3人で顔を合わせても何も会話ができないくらいに疲れていて、グループを脱退する直前くらいは、もうクレイジーになってた。でも、誰かに『助けて!』と言えるエネルギーすらもなくて。今でも忘れないけど、会社が用意したバンに乗って移動しているとき☆Takuに『ダメだ私。もう、やめたい』って伝えて、てっきり止めてくれるかなって思ってたけど、『うん、いいよ』ってソフトに言われた。じゃあ、もうやめるしかないかなって」

☆Taku「LISAは一度決めたことは変えない人だから。もうどうしようもできないなと思って引き止めなかった。あと、LISAを弁護するつもりじゃないけど、僕も正直、m-floから解放されたいっていう気持ちがありました」

 VERBALと☆Takuの2人になったm-floは、さまざまなアーティストとコラボレーションを図る“Loves”シリーズの成功によって、LISA脱退の穴を補填する。その一方で、個々での活動も活発化していったが、それはあまりにもビジネス的に成功し巨大化したm-floの呪縛から自らを解き放つためのものでもあった。

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