【淫行勧誘罪歴史的適用】無修正AVはなぜ違法なのか? モザイクなる“参入障壁”と合法AVの謎

法と犯罪と司法から、我が国のウラ側が見えてくる!! 治安悪化の嘘を喝破する希代の法社会学者が語る、警察・検察行政のウラにひそむ真の"意図"──。

淫行勧誘罪歴史的適用

2018年1月、AV出演経験のない女性に無修正AVへの出演を強要したとして、横浜市のAV制作会社の社長らが淫行勧誘罪の容疑で警視庁に逮捕された。淫行の常習のない女性を営利目的で勧誘して性交させることを禁じた、刑法182条の淫行勧誘罪が82年ぶりに適用されたことで、「AV出演強要摘発への道が開けた」との声も上がっている。


 前回はAV出演強要問題について、実はその核心に「過去の出演作品を消してほしい」というAV女優の切実な願いがあるという背景を解説しました。

 私たち「AV人権倫理機構」の取り組むAV業界健全化への改革はまさに進行中ですが、そんな中でもAVやわいせつ動画がらみの事件は後を絶ちません。2018年1月には、横浜市のAV制作会社の社長らが、無修正AVへの出演を女性に強要したとして淫行勧誘容疑で逮捕される事件が発生。さらにその後、大阪市の母子が、動画サイトFC2で女性2人のわいせつ動画を生配信したとして公然わいせつ容疑で逮捕される事件なども起きています。

 過去、AVに関連する犯罪行為に対しては、上記のほか、わいせつ物頒布等罪や強制性交罪(旧強姦罪)、強要罪、労働者派遣法違反など、さまざまな法が適用されてきました。しかし、そうした事件報道に日常的に接しているわりに、そもそもAVにおける“合法”と“違法”とは何かを正しく理解している人は多くはないでしょう。そこで今回は、“合法AV”“違法AV”なるものが、いかなる理由で線引きされているかを考えてみたいと思います。

 まず、“違法AV”の代表格が、刑法175条でわいせつ物と規定されている無修正AVでしょう。誤解されがちですが、これは単純所持の禁止されている児童ポルノとは異なり、撮影・購入・所持するだけなら違法ではありません。販売・公開した時点ではじめて罪になる。要は、そういうわいせつな物は、個人でこっそり楽しむ分にはいいが、ばらまくと性道徳の維持や青少年保護などの観点から社会にとって有害である、だから規制する、ということ。少なくとも法律上はそういう建前になっています。

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