都政で今、最も注目を集めているのが、受動喫煙防止条例の制定への動きだ。小池都知事は、9月8日の定例会見で、東京五輪を見すえて受動喫煙防止条例を制定することを表明している。これらを踏まえ本稿では、「条例」の観点から、小池都知事と都民ファーストの会の動きを精査していく。
『受動喫煙の環境学―健康とタバコ社会のゆくえ』(世界思想社)
東京五輪の開催に向けてさまざまな対策が進む東京。その中では「受動喫煙防止条例」をはじめとした条例の制定がニュースになることも目立ってきた。地方公共団体が国の法律とは別に定められる自主法である条例には、その首長や議会の第一会派の独自色が表れることも多くある。
そこで本稿では小池都知事と都民ファーストの会(以下、都ファ)が制定を目指す条例を調査。都・区市町村を対象にした自治体専門紙『都政新報』の編集長の後藤貴智氏に話を聞いた。
まず都ファは「『定例会ごとに議員提案の条例を提出する』と話しており、条例制定に対して積極的な動きを見せている」とのこと。その背景には議会の権能を高めていく狙いが見えるそうだ。
「都ファの基本政策のひとつにあるのが、議会改革条例の制定です。都ファの基本政策集では、そのメニューとして、議会棟での禁煙実施、議員公用車の廃止、政務活動費による飲食の廃止、常任委員会のインターネット中継導入、議員の不当な口利き禁止、議員の不当な都長人事への介入禁止などを挙げています。条例制定に積極的なのも、議会の権能を高める方針の一例といえるでしょう」
このほかにも都ファが示した基本政策では、さまざまな条例の制定が公約となっている。
「公開時に“黒塗り”となる公文書を改め、徹底的な情報公開を進める『公文書管理条例』のほか、不当な口利きで税金を無駄にする議員への対策として『不当口利き禁止条例』、待機児童への対策として『待機児童解消条例』なども掲げています。そのほか『災害対策強化条例』『ライフ・ワーク・バランス 確立推進条例』なども公約にはあり、『受動喫煙防止条例』もそのひとつになります」