結局、自民党と手を組むハメに?――メディアは都知事の味方か敵か? 都議会・都庁職員との攻防史

ここまでは都庁報道の問題とスキャンダルが噴出する都知事の関係、さらには歴代都知事が記した本から知事本人、都議会、そして都政を見てきたが、ここでは報道を含む世論の動きをひもといてみたい。小池知事はなぜ人気が大暴落したのか? その答えはメディアが先導する世論の動きにあるのだろうか?

(絵/小笠原 徹)

「小池都知事は女性初の都知事として歴史に名前を刻むことは間違いないですが、政策的に何かを成し遂げたかというと、まだまだこれから、と言わざるを得ません」

 小池百合子・東京都知事について、こう喝破するのは、テレビ出演でもおなじみのジャーナリスト・鈴木哲夫氏。『誰も書けなかった東京都政の真実』(イースト・プレス)の著書がある鈴木氏は、「自分を冷遇した自民党および国政を、東京都知事という立場から変えていきたい」ということが、小池都知事を動かしてきた原動力だったと見る。

 だが、都知事選で小池旋風を巻き起こし、7月の東京都議会選挙でも自ら立ち上げた都民ファーストの会が55議席を獲得するという圧勝を成し遂げたまではよかったものの、10月の衆議院選挙では、希望の党と「排除」をめぐる一連の動きの中、大いに失速して勢力もイメージもダウンしたのはご記憶の通り。わずか半年前まではあんなに東京都民に愛されていた小池都知事に対する風向きが、どうしてこうも変わってしまったのか? それを検証することは、都知事という地位の持つ危ういバランスと、メディアとの関係をひもといていくことにほかならない。

「都知事は東京都民の投票によって選ばれますから、最初はうまくメディアの風向きに乗って、改革イメージを打ち出し、広く支持を得た人が選ばれるわけです。しかし実際に都庁の中に入ると、都議会自民党と協調して予算案などを通さないと何もできないことに気づかされる。何かを変えようとしても身動きが取れず、結局都議会自民党の言うことを聞くようになる。都知事の歴史は、その繰り返しと言ってもいいかもしれません」

 そう解説するのは、『東京都庁の深層』(小学館新書)の著書のある、都議会議員の柳ヶ瀬裕文氏。柳ヶ瀬氏によれば、都議会自民党は国政自民党と目的を同じくしているとともに、都庁職員とも一体になっている。

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