阿波根昌鴻と伊江島の闘い(下)

演習に使われた1トン爆弾(『人間の住んでいる島』より)

 長年にわたり米軍基地に反対し続けてきた「オール沖縄会議」に対して、ドイツの国際平和団体「国際平和ビューロー」によるショーン・マクブライド平和賞の授与が決まった。「不撓不屈の非暴力闘争」が評価されてのものだというが、この言葉に阿波根昌鴻の名を思い出した人もいたかもしれない。

 阿波根は「銃剣とブルドーザー」と呼ばれる米軍による強制的な土地接収の対象となった沖縄・伊江島で、抵抗運動の中心的な役割を果たした人物である。阿波根らは琉球政府庁舎前にバラックの「陳情小屋」を建てて長期の座り込みを敢行したり、本島中を回る「乞食行進」を行いながら窮状を訴えるなど、さまざまな方法を用いて集落内の出来事の可視化を試みた。1955年に6×6判のカメラを購入し、米軍によって引き起こされた事件や自分たちの活動を代わる代わる撮影したのも、この可視化の一環であった。当時、島で唯一のカメラであったという。

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2024.11.22 UP DATE

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