従軍慰安婦に強制労働……日本と朝鮮半島の歴史――映画館に右翼の街宣が来る!? 日本公開不能な“反日映画”

近くて遠いと呼ばれる日本と韓国。韓国の近代史はすなわち、日本からの侵略の歴史であり、現代でも日本を敵視する人々は多い。それがゆえに、娯楽からドキュメンタリータッチのものまで、この歴史を取り扱った韓国映画がたくさん制作されてきたが、日本ではなかなか公開できないようだ。

【1】取材を元にひとつの歴史として淡々と描かれた『鬼郷』。映画を見てみると、ショッキングなシーンも多い。

 韓国では映画産業が堅実な成長を維持している。韓国映画振興委員会が発表した報告書によると、映画産業の売上高は10年から15年まで最高記録を更新し続けてきた。また、映画観客動員数は、5年連続(12~16年)で1億人を突破。17年は、上半期だけで1億人の大台を突破している。韓国の人口は約5000万人なので、国民ひとりあたり、年間2回以上は劇場に足を運んでいる計算だ。

 国内映画が好調なのも、韓国映画産業の特徴だ。16年には、高速列車を舞台にした新感覚ゾンビサスペンス作品『新感染 ファイナル・エクスプレス』(原題:釜山行き)が、観客動員数1156万1594人で年間トップを獲得。第2位には、こちらも国内映画『華麗なるリベンジ』(970万6695人)がランクインしている。なお、韓国ではハリウッド作品も人気が高いが、昨年は『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(867万6320人)が最高で、総合では先の2作に次ぐ第3位となった。

 年間1位の観客動員数が1000万人以上とは、動員数が100万、 200万で驚いている日本の映画界から見れば驚きの数字だが、17年に入っても、国内映画の勢いは止まらない。上半期のランキングでは、『共助』『ザ・キング』『ザ・プリズン』など韓流映画3作品が、上位トップ3を独占している。

 そんな韓国国内で人気を博した韓国映画が日本に輸入されることは、いまや珍しいことではなくなった。過去にさかのぼれば、04年に約30億円の興行収入を叩きだした『私の頭の中の消しゴム』などが思い浮かぶが、そのほかにも日本の映画ファンに愛された作品は数多い。前述した『新感染』や『華麗なるリベンジ』も、すでに日本で公開が始まっており、特に『新感染』は日本でも“ゾンビ映画の新機軸を打ち出した”として、高い評価を得ている。

 その反面、韓国や日本の映画関連のニュースを見ていると、不思議なことに気付く。昨今、韓国社会で大きく話題となった映画が、日本の映画館では公開されないといったケースが目立ってきているのだ。それら、日本で放映されない韓国映画には、「歴史もの」、特に近現代をテーマとして扱っているという共通点がある。

慰安婦問題テーマで櫻井よしこがかみついた!

日本の保守系論客・櫻井よしこは、連載で『鬼郷』を反日作品だとかみついた上に、ブログでも再掲載して批判を展開。そろそろ前向きな話も見てみたいが……。

 16年に、韓国社会で大きな関心を集めた作品のひとつに『鬼郷』【1】がある。同作のストーリーは、第二次世界大戦当時、日本軍によって強制的に従軍慰安婦に貶められた少女たちの人生にスポットをあて、戦争の凄惨さを描くというものだ。監督は、慰安婦関連団体で長らくボランティアに従事してきたチョ・ジョンレ氏。韓国映画業界の内部に詳しい関係者A氏は言う。

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